久々にECMのレコードを取り出して聴きはじめた。ECM聴きで触発された感覚のままに、いろいろ聴いて歩くような狩猟採集民、のような彷徨の日々、だと思う。
1974年前半に米国で収録されたものが、ジャズに振り込んだ作品群ならば、1974年に欧州で収録されたものは、とても「ECMらしい」もので、今のECM地続き。だから聴いていても、時間の流れはなく、ただ今の音が流れ続けるだけである。1975年の発売時には、どのように捉えられたのだろうか。ボクが聴きはじめた1979年の頃でも「いわゆるジャズ」から孤立し、閉じたような「ECM島」のような印象であったが。今のように音楽シーンのなかで、連続的なグラデーションのなかに存在している、という印象ではなかったような気がする。1975年というと、マイルスのアガルタ、ハービーの洪水などが日本で演奏された頃だ。
このアルバムも欧州録音の雰囲気のなかにあり、タウナーのdiaryと描きたい心象風景は同じ。静謐さ、を狙っている。彼はRTFのギター奏者で、ロック的な味の持ち主、と思っていたが、調べてみると、同時期にブレイのIAIに吹き込んだり、むしろECM的な音世界を指向していたようだ。だから、このアルバムも「それなりの」出来具合で、静謐な音世界ができていると思う。
ただタウナーを聴いた耳には、何か物足りない。タウナー的音を狙うのだけど、一音一音の存在感が薄いように感じる。だから音と音の間にも沈黙がなく、切れが悪く、音が流れていく印象が否めない。タウナーのように強く引っ張られることもないので、BGMとしては優れている、のだけど。そう思わせてしまうのは、1曲目がまさにタウナー的な旋律であり、味わいが違うというよりも、うまくキャッチアップできなかった、ような印象を与えているのだけど、どうだろうか。
全体的にあまり良い書き口じゃないのだけど、タウナーの音の強さ、が合わないヒトには丁度いいかも、と付記したいと思う。決して悪いアルバムではないので。
参考記事:
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[ECM1057] Bill Connors:Theme To The Gaurdian (1974)
A1. Theme To The Gaurdian(Bill Connors) 5:15
A2. Childs Eyes(Bill Connors) 4:22
A3. Song For A Crow(Bill Connors) 4:13
A4. Sad Hero(Bill Connors) 4:25
B1. Sea Song(Glenn Cronkhite) 5:00
B2. Frantic Desire(Bill Connors) 2:52
B3. Folk Song(Bill Connors) 6:32
B4. My Favorite Fantasy(Bill Connors) 4:23
B5. The Highest Mountain(Bill Connors) 3:24
Bill Connors(g)
Design [Cover Design]: Frieder Grindler
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Released: 1975
Recorded November 1974 at Arne Bendiksen Studio, Oslo