K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Fabiano Araujo, Arild Andersen, Nana Vasconcelos: Rheomusi (2011) そのことを知った日に

 そのことを知って、ナナのアルバムを聴いていた一日。密林のようなネット音源のなかで見つけた、そのことを知った日に、ふさわしい音。

 ブラジルの鍵盤奏者Fabiano Araújoと打楽器ナナに加え、北欧のアリルド・アンデルセン。とても昔のECMみたいな編成。ナナの打楽器がECMより、少し過剰さ、を作っていて、嘆美、静謐一辺倒な造り、にはなっていない。

 それでも、太いベースがゆったりと流れるなかで、点景のように打楽器の音が見える。そして、ゆらぎながら近づいたり、遠ざかったりするような、不思議な景色。はっとすると遠くへ消えていき、意識の底に沈んでいく。

 はじめて行く筈だった彼の演奏のことも次第に忘れていて、幾度も繰り返される死者との別れの儀式、であったような気分になった。

 さようなら、ありがとう。

参考記事:

-------------------------------------------------

Fabiano Araújo, Arild Andersen, Naná Vasconcelos: Rheomusi (2011, Ágata)
1. Yã 2:52
2. Hyperborean 7:22
3. P 6:24
4. Anacã 7:49
5. Negro 10:17
6. Norte 2:37
7. Santa Marta 6:05
Fabiano Araújo (p, accord), Arild Andersen(b), Naná Vasconcelos(perc)
Recorded January 2011, Na Cena Studio, São Paulo, SP, Brazil