美しい現代音楽が好きだ。美しい音を現出させるために、既存の規約を壊すような破壊、は好ましい。
メシアンの鳥の音楽を聴いていると、我々と直交するような、あたかもパラレルワールドの音楽のような趣で楽しい。
ハル吉「現代音楽ディスク」を読んでいると、ディスクの選定基準も難解さを避け(難解であることが目的化したものは避け)、聴いて楽しいモノを選んだようなことが書いてあったっけ。全く同感。だからケージの音楽は対象外、とも書いてあった。ケージだけでなく、メシアンなんかも対象外、なのは残念感があったが。
このアルバムは、そんな印象が強いケージの初期作品集。モンポウ集の素晴らしい演奏が印象的であったヘンクが弾いている。そして、その音楽は静謐であり、とても美しい。まったく構えて聴くような音楽ではなくて、その美音を楽しめばよい。モンポウ集と同じような、淡い寂寥感を感じさせるような、寡黙な音。夕暮れに聴いていると、浸みる。時として、打楽器のような強い打鍵で砕ける音の破片の美しさに、驚いてしまう。
そんな訳で、ヘンクとケージ、まだまだ気になっている。
教えてくれたK君、ありがとう。
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[ECM1844] Herbert Henck:John Cage/ Early Piano Music(2000)
The seasons (1947)
1.Prelude I 2:01
2. Winter 1:27
3. Prelude II 0:48
4. Spring 2:26
5. Prelude III 1:44
6. Summer 3:36
7. Prelude IV 0:53
8. Fall 2:30
9. Finale (Prelude I) 1:08
Metamorphosis (1938)
10. I 2:06
11. II 2:40
12. III 7:15
13. IV 1:16
14. V 2:58
15. In A Landscape (1948) 12:48
16. Ophelia (1946) 6:46
Two Pieces For Piano (ca. 1935, rev. 1974)
17. I Slowly 2:19
18. II Quite Fast 1:21
19. Quest (1935) 1:49
Two Pieces For Piano (1946)
20. I 5:42
21. II 5:39
Composed by John Cage
Herbert Henck(p),
Design: Sascha Kleis
[Cover Photo: John Cage In His Apartment In New York, June 1979]: Roberto Masotti
[Liner Photos] : Jutta Riedel-Henck, Roberto Masotti
Engineer [Tonmeister]: Markus Heiland
Executive producer : Manfred Eicher
Recorded December 2000
Recorded at Festeburgkirche, Frankfurt/Main