K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Derek Bailey, Han Bennink: Post Improvisation 2 - Air Mail Special (1999) 永遠に

 永遠に分からない、分からなくてもいい、音であったベイリー。全く関心がなかったのだけど、(くどいが)生エヴァン・パーカーで(ボクの)何かが変容し、惹き込まれてしまった。面白いものだ。前回、Improvised musicに惹き込んだのは、トリスタン・ホイジンガーの生。近藤等則との京都でのコンサートで1981年頃だったから、随分と間があいている。

 これは、apple musicで聴くことができるので、今、サンフランシスコのホテルで聴いている。面白い。

 彼らに共通する面白みは「速度」だ。音が時々刻々と変態しつづける、その微係数の鋭さが聴き手に速さを感じさせる。二人の作る異形のビート(らしきものが)、変容しながらジャズに近づけると見せかけて、また遠ざかっていくような、その速度を手玉に取るような楽器の操作、に強い魅力を感じる。

 なんか、この手の音に共鳴する心地って、最近幾つか見た宇宙モノのSF映画で、命綱が切れて宇宙へ放出される飛行士のような感覚じゃないかな。浮遊しながら何処へ行くのか分からない、そして、その心地を誰とも共有できないような孤立感に包まれる、のである。海外のホテルで独り聴いているのだから、なおさらである。

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Derek Bailey, Han Bennink: Post Improvisation 2 - Air Mail Special (Incus, 1999)
Derek Bailey(g), Han Bennink(ds, perc)