K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Caetano Veloso & Gilberto Gil: Two Friends, one century of music (2015) 冷戦期の南米

 昨日、近所のS君夫婦が久しぶりにやってきて、Napaで買ったのスパークリングを呑みながら、DVDをみた。

 それは素晴らしいDVDで、カエターノ・ヴェローソとジルベルト・ジルのデュオ。ギターを手にした二人のステージ。70代になった二人、とは思えないくらい元気で、声も実に素晴らしい。1980年代に来日した晩年のジョビン(60代そこそこ)と比べると、圧倒的に若々しく、年齢を感じさせない。また声が衰えたミルトンを聴くときの寂しさ、のようなものは全くない。これから、の二人なのだ。

 巧みなギターによるボッサ・ノヴァからMPBの曲はどれも素晴らしく、2時間近いステージに釘付け、になった。ボクは映像が面倒なクチで、あまり見ないのだけど、これは二人の表情や会場の雰囲気をあわせて楽しむものだと思う。最近、聴いたアルバムのなかでも、群を抜いて素晴らしく、気持ちを揺さぶるものだった。

 ボクはブラジル音楽をあまり知らない。この二人の関係も、共演歴も知らない(共演盤があるようだ)。そんな訳で、wikiで少々お勉強。

[wikiからの引用:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BE]

しかしその後は、ジルベルト・ジル、ガル・コスタ、トン・ゼー、シコ・ブアルキ、ムタンチスなどの彼の音楽仲間たちと共に、後期のビートルズなどからの影響を多分に受け、「トロピカリア」(トロピカリズモ)と呼ばれる音楽的ムーブメントを形成していった。これは、ブラジルのポピュラー音楽と欧米のロックンロール、そして前衛芸術的な音楽の要素をミックスし、より国際的に、よりサイケデリックに、そして社会意識的なサウンドだった。ヴェローゾの政治的なスタンスは、1985年まで支配したブラジルの軍事政権の独裁に対する敵意を根源とする純粋な左翼的スタンスであり、彼の歌はたびたび検閲され、焼かれることもあった。彼はまた、社会主義者からは距離を置かれた。彼の音楽が、(ロックンロールがそうであるように)非国家主義的な思想の支持を受け、またその象徴だったからである。ヴェローゾとジルベルト・ジルは1968年に「反政府主義活動」のかどで刑務所に入れられ、2人は1969年7月に共演ライヴ(この時の録音は1972年にライヴ・アルバム『バーハ69』として発表される)を行った後、ロンドンへ亡命した[2]。翌月には、亡命前に録音された『ホワイト・アルバム』が発売される[2]。そして、ロンドンで『イン・ロンドン』、『トランザ』といったアルバムを制作した後、1972年に帰国。

 彼らはブラジルの軍事独裁政権との闘いのなかにあった、のだ。1960-70年代は冷戦の最中であり、米国に支えられる各地の反共軍事政権という構図が非常に明瞭であった。出口のない圧迫のなかにブラジルもあったのだ。(チリ、アルゼンチン同様)

 彼らの唄のなかにはそんな時代に対する多くの暗喩があり、確かに聴衆と彼らが共有する感情は、コトバ・彼らの歴史が分からないボクたちには窺い知れぬものがある、ということは楽しみながらも、強く感じた。きっと、暗い時代を跳ね返した強靱な精神が潜んでいる、のではないか、と。

 

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Caetano Veloso & Gilberto Gil: Two Friends, one century of music (2015)
1. Back in Bahia
2. Coração Vagabundo
3. Tropicália
4. Marginália II
5. É Luxo Só
6. De Manhã
7. As Camélias do Quilombo do Leblon
8. Sampa
9. Terra
10. Nine Out of Ten
11. Odeio
12. Tonada de Luna Llena
13. Eu Vim da Bahia
14. Super Homem (A Canção)
15. Come Prima
16. Esotérico
17. Tres Palabras
18. Drão
19. Não Tenho Medo da Morte
20. Expresso 2222
21. Toda Menina Baiana
22. São João, Xangô Menino
23. Nossa Gente (Avisa Lá)
24. Andar com Fé
25. Filhos de Gandhi
26. Desde Que oSamba é Samba
27. Domingo no Parque
28. A Luz de Tieta