K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦: Contrast (1982) ジャズ・ドラマーという根

 これはライヴ録音で、ピーター・コヴァルト(b)、ロウレン・ニュートン(voice)の三人による即興的な演奏。

 昨日と同じく80年代はじめのキング・レコードだけど、あまり録音の良さは感じない。ライヴだからか。

 ボクは近藤等則との共演で聴いたピーター・コヴァルトは好みで、太い音を軽妙に出すような明るさ、がいいなあと思う。今回もそう。はじめて聴くロウレン・ニュートンはいわいるvoice performance的なものなのだけど、このアルバムより少し前に出たメルディス・モンクのDolmen musicと同じ世界。ただMonkのような作曲行為の上に立っていないので、深さ、のようなものが足りなくて、でも決して躍動感が増すような感じ、でもない。ボチボチ感がある。ライヴの観客もそんな感じじゃないかなあ、戸惑っているような空気を感じる。決して失敗作ではないのだけど。  

  聴いていて、やはり凄いなあと思うのは、富樫雅彦のジャズ・ドラマーという根。タイム、ビートを刻んだ瞬間に場を持っていく、そしてコヴァルトも強く反応している。このような室内楽的ジャズもいいのだけど、彼がビートを走らせたもの、が聴きたくなってきた。

------------------------------

富樫雅彦: Contrast (1982, Paddle Wheel)
A1. Contrast 9:56
A2. Twighlight South West 5:56
B1. Trial No. 2 5:00
B2. Haze No. 2 15:26
富樫雅彦(perc), Lauren Newton(voice), Peter Kowald(b)
Engineer: Hatsuro Takanami
Photograph: Michio Mikami
Producer: Motohiko Takawa
Recorded at Goethe-Institut, Tokyo, Sep 21, 1982