ジャズを聴きはじめた頃に買ったショウの新譜でAbramsを知った。そして、Black SaintのSightsongが気に入って、随分と聴いた(Sightsongについて書いた記憶があるが、みつからない)。レコードの時代のこと。
Sightsongもそうなのだけど、このアルバムでの彼のピアノはただただ美しい。所謂「前衛ジャズ」的な難解さはカケラもない。西洋音楽の調性が持つ美しさを、彼の身体表現として、ごく自然に翻訳しているような、感じ。
このアルバムも、アフリカ的なものを強く表現はしていない。ただ、彼の体の中にある「アフリカ的」なものを、ごく自然に弾いている、のである。そして、ただただ美しい。
このようなアルバムを日本のWhynotレーベル(トリオ・レコードのもと悠雅彦氏がプロデュース)が出したことは凄いことで、また素晴らしいと思う。その見る目、出すビジネス面での胆力に驚いてしまう。India Navigationとともに、この時代の黒人音楽の一断面を綺麗に切り取っている。
apple music:
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Muhal Richard Abrams: Afrisong (1975, Whynot)
A1. Afrisong 5:03
A2. The Infinite Flow (Muhal Richard Abrams) 5:55
A3. Peace On You (Muhal Richard Abrams) 7:35
A4. Hymns To The Last (Muhal Richard Abrams) 4:30
B1. Roots (Muhal Richard Abrams) 3:56
B2. Blues For M. (Muhal Richard Abrams) 3:44
B3. The New People (Muhal Richard Abrams) 10:11
Muhal Richard Abrams (p)
Producer, Photography By – Masahiko Yuh
Record/Mix: Paul Serrano
Recorded September 9, 1975 at Universal Recording Studios, Chicago.