twitterで、どなたかの書き込みを見て、即、amazonで購入。届いた頃には、それが何だったのか、よく覚えていない。すみません。加齢です。
最近のFree系の音源はダウンロードが多いのだけど、これはCD。実はbandcampでダウンロードできることが分かって、こっちの方が安価で残念。
ブラックストンはソコハカとなく、苦手感があるのは、ある時期から観念的すぎるように感じたことと、化学記号のような曲とか、あまり意味の無いようなことに「インテリ風」を吹かすことが、滑稽のように感じたから。とは云え、1972年のタウンホールでのライヴは素晴らしく、そのあたりの矛盾した印象が同居している。
このアルバムでは、圧倒的なブラックストンの存在感、タウンホールの音と一直線、を感じる瞬間が何回もあって、実に楽しめた。驚いたのは、ブラックストンに劣らぬメアリー・ハルヴォーソンの存在感。2人が対峙したときの緊張感が素晴らしい。
メアリー・ハルヴォーソンは、あちこちで絶賛されていて、幾つか聴いてみたのだけど、少しピンとこない感じがあったので、まだブログには取り上げていない。しかし、ここでの音空間の歪み、のようなものがブラックストンの「20世紀的なブロウ」を抽象化して、21世紀の音に昇華させるような役割を果たしていて、凄い。
ベイリーを思わせる瞬間も多くあるのだけど、全く指向が違うギター奏者だと思った。ベイリーはジャズを起点とした遠心力で、音楽を抽象化している印象ががある。だから音の残骸を並べると、ジャズを見事に抜き取ったような操作が、むしろジャズを濃厚に感じさせる。メアリー・ハルヴォーソンのギターにはそこまでジャズの影を感じなくて、そのようなジャズからの遠心力のなさ、がむしろ、ジャズ性を希薄化させるような面白さがある。軟体動物のような、ヘンな感じが面白い。
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Anthony Braxton: Quartet (Mestre) (Caligola, 2008)
1. Composition 367c 64:19
2. Encore (Mestre) 3:04
Anthony Braxto(ss, spn, as, contrabass-cl, electronics), Mary Halvorson(g), Taylor Ho Bynum(cor, flh, tp, v-tb), Katherine Young (Bassoon), Diamond Curtain Wall Quartet (ensemble)
Sound Engineer: Federico Arcudi
Liner Notes: Stefano Zenni
Photograph: Federico Zavagnin
Artwork: Giorgio Finamore
Released: 2010
Live recorded on 1st July 2008, during "Candiani Summer Fest", at Centro Culturale Candiani, Mestre (Venezia), Italy