前作で、過去からの音の「変化や違い」に刮目すると、どうしてもその包絡線上に次作を置くので、快感のハードルは否応がなく高くなる。その意味で「音場」の変化のなさ、あるいは成熟のようなものに対して辛くなる。
かと云って、詰まらない訳でなく、なかなか聴かせるものだから、繰りかえし聴いている自分もまた居る。面白い。それが音の練り込み、作曲・編曲の成熟、に根ざしていると気がつくまで、何と書こうか迷いに迷った。
基本路線は前作と同じ。ミニマルを基本に、色彩豊かな音を抑制的に織り込んでいる。electronicsが音の本性を剥いでいくような、そんな使い方が気持ちよい。前作のようなオーネットの影響をナマで出すような荒っぽさ、はなくなっている。そのような完成度の向上が魅力であり、残念さ、なのかもしれない。
参考記事:
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rabbitoo: the torch (2016, SONG X)
1. バターランプの頂きにて 5:32
2. 火のこどもたち 6:13
3. MET-ROPE-OPLE 4:30
4. やがて星は泥の眠りから醒める 7:01
5. 影に満ちて梟は雪のように眠る 3:25
6. Nodding Robo Labo 4:49
7. 15 Arrows 3:10
8. 渦巻 6:24
9. pool 4:25
市野元彦(g, key), 藤原大輔(ts, fl, synth, electronics), 佐藤浩一(p, key, synth), 千葉広樹(b, vln, electronics), 田中徳崇(ds)