K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

斎藤純:音楽のある休日(2002) 何で音を聴いているのか

 列車の友にと入手した古本。現代音楽やフリージャズに好感を持つ著者に好感を感じながら、ふわふわ読み終えた。新幹線ではない、特急車両の中で読み終えた。2時間ほど。

音楽のある休日

音楽のある休日

 

  静謐な音楽を集めた音楽本が注目されたことがあったが、静謐な音楽がヒトの心理状態を静謐な環境に置くとは限らない。トネフを聴いて、その闇にココロ揺れるような感覚も、静謐なにだろうか。

  この音楽エッセイ本は、音のことを紙に書く無意味さを十分了解したうえで、そうではなくて、音を聞く自分のことを書いている。だから音楽本と思って読むと情報が薄い。そうではなくて、市井の音楽好きの呟き。その落ち着いた筆致が、休日の車中の読書に思わぬ静謐なココロを呼び起こしてくれたことが少し嬉しい。ボクが、何で音を聴いているのか、それが、音からあれこれ感じたり、考えたりするなかで、ふっとハタチ前だった自分の心象と交差する瞬間がある、ことに気付かされた。読みながらね。

 後半、現代音楽の話に力が入り過ぎて、ふわっとした感じが消えて、情報の少ない、音楽薀蓄になった、のが残念。