K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Joshua Redman, Brad Mehldau: Nearness (2011) レコードで聴く愉悦

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 基本的には、新譜はディジタル音源(CD、ダウンロード)で揃える考えだった。今年、何枚かの新譜をレコードで揃えるうちに「できるならばレコードで」、に変わってしまった。何だろう、この心地よい音は。やはり、何か違うのだ。レコードで聴く愉悦、が確かにある。

 ボクはメルドーのジャズ、とは相性が良くない。なんか気持ちに入ってこない。いつだったか、ニューヨークでマックブライトとのデュオを聴いたが、それなりの印象。しかし、ジャズ的というよりは、現代音楽的あるいはクラシック的な意味でのメルドーのピアノの響きの美しさ、は素晴らしい。ソロやデュオでのメルドーは、トリオでの演奏より、遙かに印象的。美しい。

 だから、このアルバムをレコードで入手したのは正解。昨年のソロのボックス同様、ピアノの音を愛でる、ことができる。レッドマンには、あまり気持ちがいかないが。

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[2016-09-24記事] 何か引っかかる

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 ボクは新譜を(急いで)買わない。数ヶ月経った新譜は、新譜と云わないだろうな、旧譜。沢山聴きたいから、値落ちを待つのである。これも、そうした一枚なのだろうが、apple musicのおかげて、聴くことができた。ありがたや。

 音質的にも、それなりに聴くこともでき、2回も聴いてしまった。何よりもメルドーもピアノがソロ作品に通じるような過剰でない美音。とても美しい。レコードが欲しくなった(これか?)。さらに、このメルドーの美音に対し全く違和感のないサキソフォンの音、管がコンサートホールに大きく、美しく響きわたる様子は全くもって素晴らしい。

 古いバップの曲を取り上げても、そこはメルドーの世界に落とし込まれていて、現代の音楽として全く違和感がない。そのような編曲、しかも一本調子ではなく、アルバム全体を聴いても飽きさせない、メルドーの力量の凄さ、を感じた。

 勿論、その世界にぴったりと音を出すレッドマンも素晴らしい。デュオアルバムとしての完成度は申し分ない。

 だけど、何か引っかかる、のだ。レッドマンがデビューしたときの音、最近の幾つかのアルバムの音、彼の音楽の様々な側面を聴くことができる。だけど、彼の中心、あるいは軸のようなものは何だろうか?ボクには分からない。

 20年近く前、ショーターとハンコックのデュオが発表されている。アコウスティックな音を聴きながらも、電化時代を通過してもなお変わらぬ彼らの音の芯のようなものは感じたと思う。同じような強い個性をメルドーには感じるのだが、レッドマンはどうだろうか。

 だから、何か引っかかる、のだ。でもディジタル音源もLPも買うだろうな。素晴らしいメルドーのアルバムだから。

Nearness

Nearness

 

 

Nearness

Nearness

 

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Joshua Redman, Brad Mehldau: Nearness (2011, Nonesuch)
1. Ornithology (Charlie Parker & Bennie Harris) 8:38
2. Always August (Brad Mehldau) 10:55
3. In Walked Bud (Thelonious Monk) 9:56
4. Mehlsancholy Mode (Joshua Redman) 12:36
5. The Nearness of You (Hoagy Carmichael & Ned Washington) 16:44
6. Old West (Brad Mehldau) 14:39
Joshua Redman(ts, ss), Brad Mehldau(p)
Produced by Joshua Redman and Brad Mehldau
Recorded and Mixed by Paul Boothe
Track 1 recorded November 12, 2011, at Teatro Fernán Gómez, Madrid, Spain
Track 2 recorded November 16, 2011, at Kultur Casino, Bern, Switzerland
Track 3 recorded November 14, 2011, at De Oosterpoort, Groningen, Netherlands
Track 4 recorded November 24, 2011 at Alte Oper, Frankfurt am Main, Germany
Track 5 recorded November 23, 2011 at Tonhalle Düsseldorf, Düsseldorf, Germany
Track 6 recorded July 7, 2011 at Kongsberg Church, Kongsberg, Norway
Edited by Brian Montgomery
Mastered by Greg Calbi at Sterling Sound, New York, NY
Design by John Gall
Photography by Michael Wilson
Executive Producer: Robert Hurwitz