実はバンコクで仕事をしている。ときおり温い大気を泳ぐように楽しみ、あとは何処にも行かずに音楽を聴きながら仕事をしている。こんなときapple musicは重宝している。
ピーター・エヴァンスははじめて聴く。名前は聴いていたのだが、機会はなかった。tweetでその名前を知り、早速。そこがネット世界の凄いところ。物理的なmaterialには届かない世界。
Peter Evansの待望のトランペットソロでのアルバムくっっっそヤバい……!トランペットソロ数えるほどしか聴いたことない自分が言っても説得力に欠けるけどトランペットってこんな最高な楽器だったか!!!ってなるわこれ。https://t.co/XhB8shKsPT
— yorosz(よろすず) (@yorosz) 2016年10月15日
上記tweetは新譜の話。Bandcampでの試聴で、音響的な凄さ、に驚いた。ソプラノサックスかと思えるくらいのトーン。フリーキーにならず表現する力に驚いた。頭の数音で驚愕、というのが凄い。apple musicにはないので、帰ってからダウンロードしたいと思った。凄いな、と思うと、ニューヨークの奏者達。なんか凄いなあ、ニューヨーク(あたりまえか)。
という訳で、apple musicで2012年のZebulonを聴いてみる。ブルックリンでのライヴ。とにかく吹きっぱなしなのだけど、数年前にライヴで聴いたアヴィシャイ・コーエンとの比較で、とてもpositiveな印象。
同じトリオでの演奏なのだけど、アヴィシャイ・コーエンはしんどかった。1960年代のオーネットの(アルト・サックスの)演奏を踏襲したような空気感の曲調で、近年のパルス的なビートととの組み合わせ。その「押し」の曲調の圧迫感一辺倒で、変化が乏しい印象。ちょっとシンドかったな。(ウィントン・マルサリスのデビューアルバムでも、そんな曲があって、好きだった記憶があるが)
ピーター・エヴァンスのこのアルバムの面白いところは、こんな感じかなあ。
・アヴァンギャルドに分類されるが、伝統的なジャズからのechoのようなものが強く、攻めのなかに過去の奏者の影がある。その味わいが美味い。もっぱらマーヴィン・ピーターソンを思い出したが、ガレスピーやら、エルドリッジやら、そんな匂いを、(ごく自然に)微かに纏っているのが魅力で、ピーターソンよりは好感を感じる。ビートがその補助手段になっているような感じ。そんなビートの使い方。
・管の音響的な色彩が多様。まず、そこで飽き、が全くこない。聴かせる。
・アヴァンギャルドの難解さ、そのものに魅力を感じる人にはモノタリナイ、と思うが、そもそも論的なアヴァンギャルド的愉悦には溢れている。それが音響面にある、そこが現代的に思えるのだけど、どうだろうか。
断絶と連続の接続点、に彼は立っていると感じた。
エヴァンスのレーベル:
More Is More Records — Peter Evans
apple music:
Bandcamp:
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Peter Evans: Zebulon (2012, More is more records)
1. 3635 19:40
2. Lullaby 17:37
3. Broken Cycles 15:38
4. Carnival 25:35
Peter Evans (tp), John Hébert (b), Kassa Overall (ds)
Mastered by Weasel Walter
Mixed by Sam Pluta
Recorded by Jeremiah Cymerman
Recorded over two nights in March 2012, at Brooklyn.