バンコクから帰ってきて、早速ダウンロード。$15である。
先日、yorosz氏のツイートで気がつき、bandcampで試聴して、驚いた。
Peter Evansの待望のトランペットソロでのアルバムくっっっそヤバい……!トランペットソロ数えるほどしか聴いたことない自分が言っても説得力に欠けるけどトランペットってこんな最高な楽器だったか!!!ってなるわこれ。https://t.co/XhB8shKsPT
— yorosz(よろすず) (@yorosz) 2016年10月15日
PCで試聴した時ですら、音響的な凄さ、に驚いた。ソプラノサックスかと思えるくらいのトーン。フリーキーにならず表現する力に驚いた。頭の数音で驚愕、って凄い、と思った。帰宅してからの印象もこの点に尽きる。
いわゆるアヴァンギャルド・ジャズではあるが、 明らかに表現の前衛性や意表を衝くことを自体を目的とした逸脱性を楽しんでいる訳ではない。トランペットという金管楽器の音響的な限界への追求と、案外伝統的なジャズの躍動を併せ持った、そこが意表を衝くような感覚を与えているのだ。逸脱性ではなく、ジャズ・トランペットでは聴いたことがない様々な音響で、深くジャズを感じさせる瞬間が絶え間なく続く。そこが深い愉悦を与えるのだ。
ジャズの躍動と書いたが、全てが表出している訳ではないが、暗喩のような回りくどい感じでもない。音そのもの、がビート(あるいはパルス)的なものを内包し、表に出たり引っ込んだりしている。その音の包絡線のようなものに、ビート・パルスを強く感じさせる身体性のようなものが確かにある。だから聴き手も、過度に観念的にならず、音を素直に楽しめるのだ。
それにしても、ソプラノ的であったり、金管を撫でる呼吸の鳴動や、様々な音が「美しく」出るものだ。トリッキーなものはない、音とその躍動を楽しめばいい。そんな真っ直ぐさに、強い共感と納得を与える素晴らしい演奏だと思う。
参考記事:
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Peter Evans: Lifeblood (2014-16, More is more records )
1. Lifeblood 27:18
2. Mirrors of Infinity 03:38
3. Humans! 05:58
4. How Demons Enter 05:00
5. Pneumata 04:35
6. Night, part 1 02:44
7. Night, part 2 02:14
8. Night, part 3 03:13
9. Abyss: for Roscoe Mitchell 08:02
10. Pathways (for Rajna Swaminathan) 06:38
11. Prophets part 1 15:00
12. Prophets part 2 10:50
13. Prophets part 3 14:19
Peter Evans (tp)