K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Diego Barber: Tales(2014) 現代音楽とジャズの美しい接点

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  クレイグ・ティボーンのピアノが少し気になって、apple musicやbandcampを聴いていたら、出てきたアルバム。クラシック・ギターとピアノのデュオ。実に美しい音で対話が重ねられる。

 このアルバムで基底にあるのは、ディエゴ・バーバーのギターが刻む、ミニマル的なフレーズ。その上で軽やかに浮かび上がるティボーンの弱音が実に美しい。特に二曲目のCipres(糸杉)は、明るい日射しを運び込むような、爽やかさに溢れている。ギターの感じが、ライヒのアルバムでのメセニーのような美しさ、のような響きを持っていて、それでいて、あのアルバムでの機械的な美しさではなくて、もう少し人間的な躍動を纏っている。ティボーンもまたミニマル的なフレーズを弱音で奏でるのだけど、溜息が出るような美しさ。現代音楽とジャズの美しい接点、を聴くような感じ。bandcampで試聴できるので是非。

 ディエゴ・バーバーってはじめて聴くのだけど、bandcampの記述を見ると、カナリア諸島出身のギター奏者。ジブラルタルの遙か沖合の大西洋から、欧州経由でアメリカへ出たそうだ。そんな空気をアルバムに載せて運んでいる、ようだ。また、冒頭のKillian's Mountainsは、ディエゴ・バーバーをトレイル・ランに誘ったランナー「キリアン・ジョルネ」の名前によるそうだ。長い曲なのだけど、山の中を走っているときの心象風景なのだろうな。奏者との距離が一気に縮まった、ように思えた。

 やはり、ギターとピアノのデュオはいい。今夜は是非、もっきりや、へ!


 

Tales [輸入盤]

Tales [輸入盤]

 

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Diego Barber: Tales(2014, Sunnyside)
1. Killian's Mountains 27:36
2. Cipres 12:54
3. Eternal 7 11:22
4. Im Park (To Diego Barber) 14:19
Diego Barber)g), Craig Taborn(p)