山下洋輔トリオの夏の欧州ツアーで録音されたキアズマが6月。このアルバムはその後、一ヶ月後にドイツのミュンヘンで吹き込まれている。坂田がリーダなので、山下洋輔の代わりにベースのアデルハルト・ロイディンガーが入っている。
坂田明の演奏はあの緊迫感が好きなのだけど、余興芸みたいな部分がイヤで彼のリーダ作は避けていた。しかし、近年のアルバムを聴くと、時間とか場所とか関係なく、坂田明は坂田明であって、あの凄みが全く変わらないことに驚いている。山下洋輔が見せる「円熟」のような気風がない、ところがいい。
期待通り、森山威男の鋭いパルスの上で吹き抜けていく坂田。ベースもサックスやドラムに劣らず饒舌で、彼らの本質、ビート・ドライヴ的なものへの固執、に最大限適応している。最初から最後まで、ある種の速度感に支配されたアルバム。
それにしても森山威男のドラムの印象が、山下トリオと比べて柔らかい。ある種の機械的な正確さ、のようなものが取れて、これもまた面白いなあと思った。
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Akira Sakata: Counter Clockwise (1975, Frasco)
Released: 1975
A1. Frascoration (Takeo Moriyama) 8:24
A2. Bass Folk Song No.2 (Adelhard Roidinger) 2:30
A3. Automatic Moon(Akira Sakata) 7:29
B1. Combination(Akira Sakata) 9:51
B2. Counter-Clockwise Trip(Akira Sakata) 9:03
Akira Sakata (as, cl), Adelhard Roidinger(b), Takeo Moriyama(ds)
Recorded at Muenchen Union Studio, West Germany on 3, 4, 5 July 1975