K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

菊地雅章: M(1997) 端麗な音

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ふっと思った。端麗な酒は軽く、水のように流れる。それは水に希釈されたようなものだろうか。ただ流れるだけのために、あるのだろうか。だけど、流れた後の匂いや、淡い感触がもたらす大袈裟でない愉悦は、日本酒とともに過ごす時間にある。

このアルバムもそうだ。棘のような音、あるいは奇妙な味、をすべて廃したような、とても端麗な音。音を抜き、疎にすればするほど、音の間に愉悦を生む。ただそこに音が流れるだけ、なのだけど、その音が消え去った後、沈黙がより深い闇のように感じられる、仄かな明かりを点してくれる小品。それでいて、菊地雅章の音であることは強固に主張している。

M

M

 

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菊地雅章: M(1997, Media Rings)
1. Drizzling rain
2. Autumn leaves
3. Round midnight
4. Oleo
5. M
6. It might as well be spring
菊地雅章(p)
1997年6月録音