K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Joe Pass and Paulinho Da Costa: Tudo Bem! (1978) パスと「あの系統」の音の相性

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これも安レコードなのだけど、パブロの独盤ということで、即、手が出た。パブロは米盤、日本盤、独盤といずれも音が良い。音圧が上品に高く、奏者がぐっと寄ってくる。そのなかで、米盤は力強く、やや歪み気味かな、日本盤はバラスが良く、でも印象が弱いかな、で独盤は透明感が強い。パスのヴァーチュオーゾの独盤、これは良かった。ギターの胴を叩く感触が生々しく伝わった。

そういう期待なのだけど、勿論、録音の良さは感じるが、まあ電化楽器が多く、そこそこ。それよりも懐かしい1980年前後の「クロスオーヴァー」の音。ドン・グルーシンやブラジル人の奏者達が繰り出す音は、当時の渡辺貞夫の音に近い。ギターの代わりにアルトを入れると、夜中のFM放送マイ・ディアライフそのもの。

パスと「あの系統」の音の相性だけど、とても良い。当時、多くのジャズ奏者がクロスオーヴァー」風にしていたのだけど、全然クロスもオーヴァーもしていないのが多かったかな。だからVSOPが受けたり、ウィントン・マルサリスの登場に意味が「あるように」感じた、と思う。パスはクロスオーヴァー的なアルバムを出していて、それも案外良い。「ソフトでメロウな感じ」にうまく仕上がっている。だから、パブロの独盤期待の録音、にはならなかった、ということだけど。

パブロのブラジル企画モノはどれも「ある種の水準」は越えていて面白い。微妙にブラジル音楽のアナーキーで都会的な味が消えていて、付加されたジャズ臭さが味になっているのだけど。たまにはいいか。

Tudo Bem

Tudo Bem

 

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Joe Pass and Paulinho Da Costa: Tudo Bem! (1978, Pablo Records)
A1. Corcovado (Jobim, Moraes) 6:20
A2. Tears (Razao De Viver) (E. Deodato, R. Gilbert) 3:32
A3. Wave (Jobim) 9:05
A4. Voce (You) (R. Gilbert, R. Menescal) 3:15
A5. If You Went Away (Marcos Valle) 3:04
B1. Que Que Ha? (Don Grusin, Octavio Bailly Jr) 6:50
B2. The Gentle Rain (Chuva Delicada) ( L. Bonfa) 4:11
B3. Barquinho (R. Menescal, R. Boscoli) 6:11
B4. Luciana (Jobim, G. Lees, Moraes) 4:55
B5. I Live To Love (O. C. Neves, R. Gilbert) 3:20
Joe Pass, Oscar Castro Neves(g), Paulinho Da Costa(perc), Don Grusin(key), Octavio Bailly Jr(b), Claudio Slon(ds)
Engineer: Val Valentin
Producer : Norman Granz
Recorded: May 8, 1978, Hollywood, Ca.

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