K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

井上敬三: Intimate (1979) フリー系の奏者の魅力

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 昨日届いたレコード。2枚、同時に入手。以前から持っている盤と合わせて3枚。これで全部じゃないかな、レコードは。

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 当時、57歳での「レコード・デビュー」が話題になったフリー奏者・井上敬三。これは彼の最初のアルバム。リアルタイムに、その記事を雑誌で読んだ。当時、日本では若手中心であった「フリー・ジャズ」に老人が出てきて驚く、そのような論調。北村英治の7歳年長だから、そりゃ驚く。今、その彼の年齢に近づいている訳で不思議な気がするけど。旧陸軍の軍楽隊出身云々はネットで分かるので、割愛。同じ広島出身の坂田明を教えたこともあるという。本盤でも一曲、共演。

 実は「デビュー前」に阿部薫中村達也と行ったライヴもCDで出ている訳で、年期の入った奏者。本盤でもしっかりと吹き、とても綺麗な音を出していることが特長だと思う。最近、フリー系の奏者の魅力は音響で決まると思っている。

 本作は渡辺香津美のプロデュースで、彼のアイデアが色濃い曲と奏者。コールマンのDancing in your headの2年後。ウルマーのデビュー作やラズウェルのMaterialやラウンジ・リザーズよりは僅か早い。そのようなフリー系奏者が多様なリズムと交わる時代にのはじまりの頃のもの。今聴くと、井上敬三、望月英明、小山彰太のトリオに、いろいろな味のフリカケ(若い人はトッピングというかも)がかかったような印象。ここが、基本線を押さえているので安心して聴ける。間奏曲として入っている、デュオ、トリオも彼の管の音響の魅力を引き出しているので楽しい。案外、面白いのは小原礼村上秀一の曲。異種間競技にマジメに取り組む空気がよい。

 最後の曲は坂田明との共演。似ているなあ二人。月英明のベースが弾けていて、タクマに化身。オーネット的な匂いが顔を出して、微笑ましく楽しい。

 なにかしんどい感じ、時代の劣化を感じさせたのは坂本龍一のシンセサイザ。ゲームの効果音のような印象(KYLYNでもそう)で、面白味がない。基底にグルーヴがないので、乾いた異物が転がっているような違和感が終始拭えなかった。

インティメイト

インティメイト

 

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井上敬三: Intimate (1979, Better Days)
A1. Mwsik part 1 6:45
井上敬三(as), 渡辺香津美(g), 坂本龍一(p, synth), 望月英明(b), 小山彰太(ds), ペッカー(perc)
A2. Intimate 3:10
井上敬三(ss), 渡辺香津美(g)
A3. Mwsik part 2 6:21
井上敬三(b-cl), 渡辺香津美(g), 坂本龍一(p, synth), 望月英明(b), 小山彰太(ds) , ペッカー(perc)
B1. Analogue pendulum 8:18
井上敬三(cl), 渡辺香津美(g), 坂本龍一(p, synth), 小原礼(b), 村上秀一(ds), ペッカー(perc)
B2. Litsu-tsuki 4:56
井上敬三(b-cl), 渡辺香津美(g), 坂本龍一(synth)
B3. Night Heron 7:22
井上敬三(as), 坂田明(as), 渡辺香津美(g), 坂本龍一(p), 望月英明(b), 小山彰太(ds) ペッカー(perc)
Producer: 渡辺香津美
1979年5月録音

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