K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

飯島晃: Combo Rakia's (1990-91) 正確な揺らぎ、のようなもの

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 CDをトレイに入れた瞬間から、穏やかな水の流れ、のような中にいる。だけど、その流れは、岩だらけの渓流のように、水面を見ているとまっすぐに流れているのではなく、そこかしこと滞留していたり、逆流していたり、渦巻いていたりする。気持ちをそんな穏やかな乱流に任せていると、それが時間の流れ、が不規則に乱れているような感覚のなかに独りいるような不安感が少しづつ沸き上がってくる。

 そのような不安感が、あまりにも美しい飯島晃のアコウスティック・ギターの正確な揺らぎ、のようなものに喚起されていることに気がつく。いや、そんな不安感に運ばれて行く先は、どこだろうか。

 ボクよりもずっと年上で、そして、ずっと年下になってしまったギタリスト。つい最近知って、ただ1枚のリーダ作を時折、鑑賞(という言葉が似つかわしい)していた。聴き終えた後の、小さなトリップ感がいい、どこでもない場所に運ばれていた、のだ。

 そんなアルバムのライヴ盤が出る、と知って驚いた。そんなことが、あるのかと。そして、今日、聴いて更に驚いた。実に録音がいい。ディジタル録音固有の透明感を維持しながら、奏者達と聴き手の間の距離が実に近い。25年以上前の演奏会場にボクは座っている。そんな悦びに溢れている。演奏の時間軸での乱流、そして現在との25年という時間の断絶。時間の進行方向の見えにくさ、に目眩がする、ようだ。「発掘盤」にあり勝ちな、カセット・テープでの私家録音と対極にある。

 

COMBO RAKIA'S

COMBO RAKIA'S

 

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飯島晃: Combo Rakia's (1990-91, Super Fujii Discs)
(Disc 1)
1.ロビン i,ii,iii,iv
2.背広の男と象の庭 i,ii,iii
3.約束
4.いばらのサギ師 i,ii,iii,iv,v
5.旅人の木 i,ii,iii
6.月の谷のピレア i,ii,iii,iv
7.月に隠れて
8.手に眠る花
1,8: 新宿シアターモリエール 1990.11.13
飯島晃 (g), 近藤達郎(accordion, harmonica), 向島ゆり子(vln, toy p, vo)
2-7: 吉祥寺マンダラ2 1991.7.
飯島晃(g), 関島岳郎(tuba, bass-tb)
向島ゆり子:violin

(Disc 2)
1.背広の男と象の庭 i.ii,iii
2.月の谷のピレア i,ii,iii,iv
3.待つための根拠 i,ii,iii,iv
4.砂まじり i ii
5.いばらのサギ師 i ii,iii,iv,v
6.ロビン i,ii,iii,iv
7.セラフィタの季節
吉祥寺マンダラ2 1990.12.13
飯島晃(g), 関島岳郎(tuba, bass-tb), 篠田昌已(as, ss), 近藤達郎(accordion, harmonica)