K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Bill Evans: Another time (1968) 狭い空間での演奏が、聴者との距離の近さを感じさせる

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 昨日、On a Monday eveningと一緒に届いたレコード。RSD対応の本作と同梱の発送にしたので、On a Monday eveningの入手が一月遅れた。しまった!

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こっちが面倒くさいイヴェントRSDに合わせて発売されたレコード。このような形でプレミアム的に出されてもなあ、という感覚。普通に流通させてよ、って思う。確かに、予想購買数が少ないアルバムを売り切る手法としては分かるけど、エヴァンスは違うでしょう。

エヴァンスの公式盤、発掘盤を通して云えるのは駄盤、駄演のなさ。これは凄い。逆にどれを聴いても驚きがない、ということになる。もっとも前回のレゾナンスの発掘盤Some other timeではスタジオでの?テイクも入っていて、散漫な印象が強かったが。その意味で、今回の盤はラジオ放送用のスタジオライヴであり、聴いていても実に締まった、素晴らしい演奏が収められている。

3者のせめぎ合い、のようなものが心地よい緊張感を与えるとともに、エヴァンスの強く・美しいタッチのピアノが楽しめる。この時期のゴメスは、テクニックが滑るような感じはなくて、まだ聴いていられる。デジネットも時に激しく、時に美しく刻み続ける。まさにモントルーの続編的な内容で大満足。スタジオライヴという狭い空間での演奏が、聴者との距離の近さを感じさせる、また違った魅力にも溢れている。

発掘盤の多くは、テープの劣化をイコライズするためか公式盤と比較すると、やや不自然な音が多いように思う。また前回発売のSome other timeではMPSでの録音の割りには(MPSの録音は好きだったので)、デジョネットはオフ気味だし、あまり面白くなかった。本アルバムは、そんな前作由来の不安を払拭するような、素晴らしい録音。音は極めて自然だし、バランスも良い。スタジオでの熱さ、が間近に伝わってくる。これはレコードで入手すべき一枚と確信。素晴らしい。

Another Time : The Hilversum Concert

Another Time : The Hilversum Concert

 

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Bill Evans: Another time (1968, Resonance)
A1. You’re Gonna Hear from Me (4:30)
A2. Very Early (5:14)
A3. Who Can I Turn To? (5:36)
A4. Alfie (5:29)
A5. Embraceable You (5:05)
B1. Emily (4:22)
B2. Nardis (8:34)
B2. Turn Out the Stars (4:53)
B3. Five (2:26)
Bill Evans(p), Eddie Gomez (b), Jack DeJohnette(ds)
Recorded Live at the Netherlands Radio Union (NRU) VARA Studio 8 in Hilversum on June 22, 1968