K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Miles Okazaki: Trickster (2017) 淡い旋律的なものを断片化して

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クレイグ・ティバーンの電気ピアノを聴いていると、ギターのようだな、と思うことがある。アコウスティック・ピアノでの打鍵の細かな制御、特に弱音での、による音の空間構築がとても好きな感じなのだけど、電気が入ると強いアクセントがついたグルーヴ感溢れる音に変貌し、面白いなあ、と思う。いずれもミニマル的な旋律との組み合わせで、良い効果をあげているのだけど。

このアルバムでのティボーンは、そのいずれでもなく、とても軽い感じでピアノを弾いている。その意味では、期待したような音ではないのだけど、ベースとドラムで繰り替えされるファンク的なリズムのなかで、むしろ淡い旋律的なものを断片化して流しているような感じ。それが、いい感じで主役のマイルス・オカザキのギターを浮かび上がらせているようだ。少し引いた感じでサポートする様子もまた良し、のティボーンなのだ。

そんな音を作るオカザキの音楽も、強い個性はあまり感じないのだけど、もう少し聴いてみようかな、と思わせるものだった。フリーとファンクを巧く「クロスオーヴァー」させている、といことに好感を持った。

Trickster

Trickster

 

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Miles Okazaki: Trickster (2017, Pi recordings)
1. Kudzu 5:21
2. Mischief 3:24
3. Box in a Box 5:47
4. Eating Earth 6:43
5. Black Bolt 2:42
6. The West 3:46
7. The Calendar 9:16
8. Caduceus 6:41
9. Borderland 1:07
Miles Okazaki(g), Craig Taborn(p), Anthony Tidd(b), Sean Rickman(ds)