K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

明け方の会話

 金沢に新幹線が通ってから、金沢の宿泊の予約が難しかったり、また空いていても法外な対価を求められたり、開通前にはおよそ想像ができないことが起きている。つい、このあいだまで4000円くらいで宿泊できたホテルが、20000円を超えたり、凄まじいものだ。市場原理からすると、仕方がないことなのだけど、そんな運営のホテルの経営者が、戦前回帰気風で「美しい日本派」だったりするものだから、ややこしい。ちっとも、美しくなかったりする。ジャーナリスト気取りの彼の言説も、3次資料ベースのcut&pasteベースで美しくないから、まあ調和はとれているのだけど。左翼でないボクから見てそうなのだから、なんともまあ、である。自社の経営原理がグローバル流のハゲタカ的なのだから、そのように言行一致して頂きたいものだ。みっともない、とボクの中にある、昔の日本の心性がささやいたりするのだ。

 そんなことがあって、独り暮らしの弊宅に宿泊を求める知己が増えた。特に構ったり、世話を焼いたりしない条件なので、何ということもない。困ったときは、お互い様のことである。

 最近宿泊するようになったXさん、もそんな一人。釣りの友人(と云うより、釣りの大師匠なのだけど)であり、タイミングが合えば一緒に行くような感じなので、そんな来客は楽しい。昨夜も、仕事で金沢に来られていて、宿泊することになっていた。

 昨日は早朝から釣りに行っていたので、仕事のあと会食に出かけているXさんを待っているうちに眠たくなってきた。電話で遅くなる旨の連絡が入ったので、Xさんの布団をひいて、先に寝た。

 疲れていたためか、何回か自分の声のようなもので目覚めたり、軽い昂奮状態だったのかもしれない。そうするうちに電話がなって、Xさんが家の前に着いたと連絡がはいった。寝ぼけて、迎い入れた。

 どうも宴会の流れて、Xさんの他に数人の男女がいた。そのなかには知り合いのMさんもいた。適当に部屋を使ってもらうことにして、再び眠った。あまり深い眠りにならなくて、3時くらいだろうか目覚めた。

 何人かは帰ったようで、外国人の若い男が残っていた。米国出身だそうで、若い。20代じゃなかろうか。背は我々と同じくらい。西海岸、northwestあたりの出身か、と聞くと嬉しそうにうなずいた。そして、Kanazawaが気に入ったから、ずっと住むつもり、と云った。なんだボクと同じじゃないか、と軽く盛り上がった。英語で喋ると、自分のなかの別人格が起動して、人見知りが強いボクも、少し社交的になるのが分かる。

 学生のようで、日本の夏休みに帰るのか聞くと、帰るのだけど家がなくなっているので、シアトル近郊のユースホステルに滞在するらしい。複雑な家庭事情があるらしい。そんな話をしているうちに、少し、外が明るくなりはじめた。

 気がつくと、その彼もいなくて、ボクは眠りから覚めた。朝6時前。寝間を出て、Xさんが寝ている居間に行くと、ボクが昨夜ひいた布団で寝ている。昨夜、出会った数人の男女も夢の中の出来事であったことは、すぐ了解したのだけど、あまりにもリアルで生々しい記憶だった。

 Xさんを送っていきながら話をしたのだけど、弊宅に来る前のイヴェントで、Xさんは多くの人に会っていたようだ。その彼が連れて帰った様々な人の思い、のようなものが存外に重いものだった、のかもしれない。そんな彼も3時頃に眼が覚めたよ、と云った。そして、生霊か、と笑っていたのだけど、付き合ったボクにはイヤな感触はまるで残らなかった。まあ、ちょっと不思議な感覚だった。

[追記]

ボクには全く霊感はない。ただの夢の話、なのだ。それでも、時折、こんな感覚になる。年1回くらいかなあ: