K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

つげ義春カラー作品集・紅い花(1969)

紅い花 つげ義春カラー作品集

紅い花 つげ義春カラー作品集

 

今時になって、また少しづつ、つげ義春の本を読んでいる。1980年代後半から「休筆」だから、平成になってからの年月がそのような期間になる。最後に漫画を書いたのが50歳前後だろうから、今のボクよりも随分若い。随分と早く、お休みに入ったものだ。

先日入手した芸術新潮の特集号の仕上がりは素晴らしく、 暫しその絵柄を楽しんでいた。はじめて読んだ1980年頃の気分が少し蘇ってくる。

この芸術新潮の企画をまとめた「とんぼの本」も入手したが、内容に代わり映えがなく、またサイズが一回り小さくなったことで、芸術新潮をみたときのような感慨、は得られなかった

昨日届いていたのは「つげ義春カラー作品集・紅い花」。1960年代後半のガロの連載に彩色を施し、漫画アクションに再掲されたものである。時期は1969年8月から11月。青林堂との関係はどうだった、のだろうか。権利意識が今とは違ったのだろうか。

判はとんぼの本」よりも更に小さい、普通のサイズなのだが、これは面白い。カラーといっても、濃淡のある赤を塗っただけのもの。白黒の漫画と与える印象は大きく変わらない。二色での表現は、やはり極端なデフォルメの世界で、写実に近づく性格でないからだろう。まさに紅い花の「紅」を眺めるための本。もっきりやの「コバヤシチヨジ」への彩色、もっきりやの灯火も眺めていて楽しい。

 五月晴れだった数週間が過ぎ、曇天の朝に眺めていると、なんとなく相応しいように思えている。