黎明の頃に目覚めた。薄らと晴れている。遠くに浮かぶ犀奥の峰の残雪も消えかかっている。
夜半過ぎに降ったらしい雨で、窓が濡れている。仕事の前に沢を歩きたくなった。
5月の晴天続きで、沢の流量は減っていて、澱のようなものが川の底石に纏わり付いていて、滑りやすい。また川岸には草が生い茂り、春の気持ちよさが消えかかっている。草いきれの夏、が近い。
明け方の気分を味わいたいだけなので、少しだけ竿を持って歩いた。
狙った場所で、綺麗な27cmと28cmの岩魚が竿を絞った。気持ちよかった。
そして、いつものように、いつもの時間に、出勤した。金沢で暮らしていて、楽しいと思える瞬間だ。