K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Thelonious Monk: It's Monk's Time (1964) モンクのピアノが最大限映えるように

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連休中にコロンビア時代のモンクを聴こうと、棚から取り出した。

結局、多事ににかまけ、聴いたのはコレ一枚。

ジャズを聴きはじめたとき、ディスクガイドを幾つか読んだが、モンクで紹介されるのは1960年頃まで。Riversideが中心じゃなかろうか。どのアルバムにも、モダン・ジャズの大物が入っていて、白熱の演奏を楽しめる、という感じで。しかし、コロンビア時代には、そのようなモダンジャズの名盤らしい企画もないし、レギュラーグループでの演奏が地味のように見える。

さて聴いてみると、とても面白い。どの曲もモンクのピアノが力強く、ふらつくような、それでいてスウィングともドライヴとも違う、不思議なビートの推進力のもとにある。Riverside時代と異なるのは、共演者の個性に全く頼っていないこと。モンク自身の作曲行為の中で曲が作り込まれている。モンクのピアノが最大限映えるように、全ての音が配置されている。だからInterplay的なものに重点を置くと、かなり物足りないだろう。

しかしモンクのピアノや曲が持つ「奇妙な味」や、モンクの打鍵が放つ、飛び散る硝子片が放つ微細な光跡のような煌めく音、が好きなのであれば、それが最大限楽しめるような曲になっている。それで十分なのだ。

そのような観点から聴くと、ラウズもモンクのピアノに対するホーンの装飾に徹していて、また(多分)モンクの要求によるヘンなトーンを出したり奮闘。アドリブがどうとか、こうとか、は関係ないのだ。モンクなりの考えで、ハードバップから離脱しているように思える。

また期待通り、コロンビア盤は実に録音が良い。加えてモノラル盤の強い音圧を楽しむことができる。このアルバムを何回も聴いて、連休は終わってしまった。

追記:

たまたまなのだけど、いつも拝読しているブログもモンク特集。精緻にコロンビア盤を記載されているので一読を。何となく「陽があたらない」コロンビア盤への愛情を感じる。

イッツ・モンクス・タイム+3

イッツ・モンクス・タイム+3

 

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Thelonious Monk: It's Monk's Time (1964, Columbia)
A1. Lulu's Back In Town (Dubin, Warren) 9:55
A2. Memories Of You (Razaf, Blake) 6:06
A3. Stuffy Turkey (Monk) 8:16
B1. Brake's Sake (Monk) 12:29
B2. Nice Work If You Can Get It (G. Gershwin, I. Gershwin) 4:15
B3 Shuffle Boil (Monk) 7:09
Thelonious Monk(p), Charlie Rouse(ts), Butch Warren(b), Ben Riley(ds)
Producer: Teo Macero

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