K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

湊谷夢吉:魔都の群盲(1997、北冬書房)没後30年の漫画家

魔都の群盲 (湊谷夢吉劇画作品集)

魔都の群盲 (湊谷夢吉劇画作品集)

 

 昔、つげ義春の新作が読みたくて、「COMICばく」を読んでいた。そのなかには、かつてのガロから流れてきたような面白い作家の作品が多かった。

その一人が湊谷夢吉で、多分、一編しか掲載していなかったのではないか。それが印象深い。大戦前の海沿いの寒村にロボットがやってくる、ような話だったか。その記憶が鮮烈で、何かの拍子に思い出した。強烈なノスタルジイを喚起する時代設定。そこでの登場人物のコミカルな躍動。まあただのエロ活劇、とも云えなくもないが。何故思い出したか、そこが記憶にないのだけど。

やはり「つげ義春」の出版をやっていた北冬書房から本が出版されて読んだ。舞台は大戦前の京都、満洲、上海、芦屋など。エロ作家、密偵、主義者崩れ、記者、娼婦。。。透けて見えるような「いかにも」なのだけど、絵の巧さ、小気味良い話の展開もあって読ませる。

つげ作品と同じく、ある種の中毒性がある 。作者は30代後半でこの世を去っている。京都生まれで札幌市中央区在住。銀河画報社、を名乗っていた。もう没後30年なのだ。