K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Charles Tolliver: The Ringer (1969) カット盤を聴きながらの雑感

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Arista Freedomのcut盤にはお世話になった。1979年頃、レコード屋に800円くらいで未開封の輸入盤が並べられていた。マイケル・カスクーナ渾身(かどうか知らないが)のフリージャズの名盤再発シリーズ。あんまり売れなかったようで、ジャケットの隅をカットとして廉価販売。このシリーズでいろいろな奏者のレコードを入手。ボクのフリー・ジャズ入り口だった。

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それにしても、このトリヴァー盤は哀れ。カットされて、3枚5ドルのバーゲン。酷いねえ。

これは1969年に英国ポリドールで吹き込まれたトリヴァー/カウエルのMusic Inc初期のアルバム。フリー的な匂いはなく、むしろ所謂新主流派の進化形のような印象。だから初期チック・コリアに通じる清新な空気を感じる。間違いなく、彼らの響きのなかに。

だから、とても聴きやすく、同時に真っ直ぐなドライヴ感が気持ちよい。同時代のウッディ・ショウとも同じ世界を共有しているように思う。またある時期の日野皓正もそうかな、と思う。

トリヴァーは存命のようだけど、久しく活動は聴かない。またショウは悲惨な最期だっただけに、彼への過小評価が寂しい、という声は実に多い。しかし、トリヴァーは話題になった記憶がない。

1970年代ジャズがやっぱり好物だよなあ、と思う中で、実はトリヴァーは実に美味しい、と思いだした。もう少し、聴いてみたいと思う。何故、今、忘れられているようにも見えるのか、何となく分かるのだけど、そうかどうかも確認したい。

追記:

1980年前後にウィントン・マルサリスのデビュー作を聴いたときに、ショウ、トリヴァーの音を越える何か、を感じた。オーネット風の曲を巧く作るなあと思った記憶がある。その後の退行のようなものが実に残念だった、と思っている。面白くなくなったのだ。何かと取り上げられているようだけど、「やってくれなかった感」がリアルタイムには半端なかったように思う。

Ringer

Ringer

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Charles Tolliver: The Ringer (1969, UK polydor => Arista Freedom)
A1. Plight 7:09
A2. On The Nile 12:31
B1. The Ringer 5:46
B2. Mother Wit 8:46
B3. Spur 5:02
Charles Tolliver(tp), Stanley Cowell(p), Steve Novosel(b), Jimmy Hopps(ds)
Recorded at Polydor Studios, London, June 2, 1969.