昨日は金沢・アートホールで富田祥さんのチェロ・リサイタル。
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲第5番ハ単調BWV.1011
ショスタコーヴィッチ:チェロ・ソナタ二単調 作品40
ラフマニノフ:チェロ・ソナタト単調 作品19
ピアノは相方の浅井隆宏さん。会場には知り合い多し。
今回はロシアの20世紀前半の音楽、聴きたいストライクゾーン。改めて思ったのはピアノという楽器の暴力性。様々な音色を、様々な音量で場面を拓いていく。時として天蓋から降り注ぐようなイケナイ美音を繰り出す。ロシアの曲の魅力は、そのような剥き出しの暴力的な心象ではないかと思う。だから彼のピアノとの親和性は高い、と思っていたが、やはりだった。いや、よかった。
そのようなピアノの上にチェロの鳴動が被さっていく。溢れるピアノの音を包摂するような秩序、のような重み。対照的な音空間が交叉したような印象だった。終盤にむかうほど、二人の音が交叉した瞬間に与えられる愉悦が高まっていくような感覚、が面白い。楽器の音がどんどん良くなってくのだ。
昨年のリサイタルと同じアートホールなのだけど、昨年同様、ピアノとチェロの音のバランスが気になった。ピアノがちょっとやんちゃ、ちゃうか?それがいい、のだけど。