K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Chick Corea: The Song Of Singing (1970) 彼が頂点の頃

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1960年代後半のコリアは清新な風を吹き込むような、そんな爽やかさがとても魅力だと思う。BN4000番代のダークな音像の世界に光を射し込むような。

その魅力の集大成のようなアルバムが間違いなく彼の代表作Now he sings.....じゃないかな。商業的な成功作でもないのに、随分後までヴィトウスとヘインズと一緒に再結成バンドをやっているのは、彼自身のなかでも、その認識だろうな、と思う。

このアルバムからディメオラが入るRTF2期の「前」までが、彼の頂点じゃないか。1968年から1972年(だから全盛期に見えた1980年の頃が旬の奏者じゃない。もう1つ古い世代なのだ)。

 Now he sings.....の後に結成したのが、ホランドとアルトシュルとのトリオで、フリーに接近する。スタイルはフリーに接近するが、案外抑制的で、しかし抑えきれないピアニズムが実に美しい。ECMのARCの1年前にBlue Note(UA時代)に吹き込まれたのが、このアルバム。ホランドとコリアの鬩ぎ合いが面白いし、A.R.C.より、やや直球のジャズ。締めのネフェルティティはA.R.C.より好きな感じ。過剰な耽美さ、がない。

この時期のアルバムはブラックストンとのカルテットも含め、様々なレーベルに散らばっている。もう少し聴いてみようかと思う。

持っているレコードはキングからの再発盤。聴いていて、「膜を1枚」感じてしまった。柔らかい、尖りのない音。ゆっくり原盤を求めようかな。最近のCDリマスター再発があれば、それでもいいかなあ。探してみよう。

ザ・ソング・オブ・シンギング+3(紙ジャケット仕様)

ザ・ソング・オブ・シンギング+3(紙ジャケット仕様)

 

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Chick Corea: The Song Of Singing (1970, Solid State Records)
A1. Toy Room (Dave Holland) 5:25
A2. Ballad I(Barry Altschul, Chick Corea, Dave Holland) 4:17
A3. Rhymes (Chick Corea) 7:56
B1. Flesh (Chick Corea) 5:05
B2. Ballad III (Barry Altschul, Chick Corea, Dave Holland) 5:35
B3. Nefertitti (Wayne Shorter) 7:05
Chick Corea(p), Dave Holland(b), Barry Altschul(ds)
Producer: Sonny Lester
Recorded at the A&R Studios, NYC, on April 7, 1970 (tracks A1, B1, B3) and on April 8, 1970 (tracks A2, A3, B2).