K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Chick Corea: The Complete "IS" Sessions (1969) カスクーナによる編集盤を聴け、か?

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初期のチック・コリアは、マイケル・カスクーナによる編集盤を聴け、ということだろうか。気がつくと、そんな感じ。Song of singingを再聴したときから、気になって初期のアルバムを聴いている。

マイケル・カスクーナによる編集盤は、本アルバムを含め以下の通り:

Chick Corea - Inner Space (Vinyl, LP) at Discogs (1966, 1968)

Chick Corea - Now He Sings, Now He Sobs (CD, Album) at Discogs (1968)

Chick Corea - The Complete "Is" Sessions (CD) at Discogs  (1969)

Chick Corea - Circulus (Vinyl, LP, Album) at Discogs (1970)

Circulusはこれから聴く予定。Circulus以外はCDになっているので、2000年以降のリマスター盤を入手すべきであろう。またNow he sings, ........はタイトルこそ原盤と同じであるが、オリジナルに対し大幅に曲が増えている"Complete盤"であるが、実はオリジナルしか聴いていない。カスクーナの編集CDをちゃんと聴いてみたい。

さて、このアルバムSolid sateのソニー・レスターによるセッションであるが、発売はsolid stateのisと、後年(1972年)にGroove Merchantから発売されたSundanceに分かれている。Sundanceは持っているが、録音、内容ともにシンドイ感じだった。

この編集盤は元のアルバムを全く意識していなくて(Inner spaceと同じ)、それが良い。1枚目は新主流派的なアプローチ。2枚目はフリー的なアプローチ。圧倒的に1枚目が面白くて、2枚目は辛い。チック・コリアのフリー寄りのアルバムはブラックストンとの化学反応が必要で、それがサークルであり、また同時期のA.R.C.である。A.R.C.はネフェルティティですら抽象的に昇華されていて、自由に飛翔している感じが素晴らしい。このアルバムの2枚目は「考えられたフリー的アプローチ」なのだけど、音の拘束ルールを変えただけ、の趣。

1枚目の面白さ、は、やはりコリア、ホランド、デジョネットの強靱さ、に尽きる。当時のマイルス・バンドのリズムセクションであり、1969年の欧州ツアー(1969マイルスでの3人の格好良さ、は凄まじい)の直前の収録。ドライヴが強力。さらに、(多分)コリアのアルバムとして初めてFender Rhodesが弾かれている。それが、後年のRTFに繋がる響きもあり、コリアのなかで様々な音が揺籃されていることに気がつく。間違いなく、そのようなコリアの魅力をキッチリ編集された盤であるから、カスクーナによる編集盤を聴け、ということなのだ。

同時期のハンコックはリーダ作がブルーノートなのでライオンのしっかりしたプロデュースのもとにあった。コリアとジャレットはVortexとかSolid Stateでプロデュースの弱さを感じる。だからジャレットはアイヒャー傘下に入った後のアルバムの質が不連続に上がっている(レッドマンとのAmerican 4あるはハンブルクのトリオも)。コリアもアイヒャーとの出合いは重要だし、また後年のカスクーナの編集盤が古い録音に新しい価値を与えているように思えるのだ。

Complete Is Sessions

Complete Is Sessions

 

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Chick Corea: The Complete "Is" Sessions (1969, Solid state, Groove Merchant==>Blue Note)
[Disc 1]
* 1. It(Chick Corea) 0:28
+ 2. The Brain(Chick Corea) 10:08
* 3. This(Chick Corea) 8:15
+ 4. Song Of The Wind(Chick Corea) 8:02
+ 5. Sundance(Chick Corea) 9:59
- 6. The Brain (Alt Tk)(Chick Corea) 7:23
- 7. This (Alt Tk)(Chick Corea) 11:47
- 8. Song Of The Wind (Alt Tk)(Chick Corea) 6:44
- 9. Sundance (Alt Tk)(Chick Corea) 13:28
[Disc 2]
* 1. Jamala (Dave Holland) 14:05
+ 2. Converge(Chick Corea) 7:56
* 3. Is(Chick Corea) 28:52
- 4. Jamala (Alt Tk) (Dave Holland) 8:55
- 5. Converge (Alt Tk)(Chick Corea) 7:59
* the original "Is", released in 1969 on Solid State Records
+ recorded at the same sessions were released three years later as "Sundance" on Groove Merchant.
- never released before

Chick Corea(p, el-p),Woody Shaw(tp), Bennie Maupin(ts), Hubert Laws(fl), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds), Horace Arnold(ds, perc)
Producer: Sonny Lester
Recorded By, Mastered By – Malcolm Addey
Reissue Producer: Michael Cuscuna
Recorded at Bell Sound, New York City on May 11, 12 and 13, 1969
Mastered at the Malcolm Addey Studio, New York City
Note: The alternate take of "Sundance" was transferred from an LP; no tape source could be found.