K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Evan Parker, William Parker, 土取 利行: The flow of spirit - Live concert Tokyo (2015) それ以上のコトバを必要としない

Flow Of Spirit

素晴らしい。それ以上のコトバを必要としない。タイトルのとおりThe flow of spirit が眼前に広がる。

 ホモサピエンスの出アフリカの頃、5万年くらい前だろうか。ウィリアム・パーカーの祖先と分かれた残り2人の祖先はシナイ半島の北部へ向かった。そして、パレスチナを通ってイラン高原に入る手前で2人の祖先は別れた。エヴァン・パーカーの祖先はカフカズを北上し、南ウクライナステップ地帯で何万年か過ごした。そして数千年前に北西の果ての島へ。土取利行の祖先は東の果ての島へ。

その子孫たる3人が、音を出す道具を巧く操って、時間と空間を行き来する。この100年に流行ったジャズという形象をとりながら、時として精霊と化して祖先が歩いた路を遡り、祖語のようにお互いが繰った音を確かめ合う、まさにThe flow of spirit 。

全くヴェクトルが違う3人なのだけど、彼らの交感が様々な反応・変態を引き起こしていて、その砕片に痺れている。本来の彼らの音、無機的な精緻なガラス造形のようなサックス、強いグルーヴを引き起こすベース、土着的な打楽器、には全く納まっていない。

土着的と感じさせるソプラノ、ジャズ色が濃厚なテナーを吹くエヴァン・パーカーが特に面白い。土取 利行のジャズ的なブラシも素晴らしい。そんな演奏の触媒がウィリアム・パーカーのように聴こえる。

そのThe flow of spiritを大音量で感じる。ほんとうに素晴らしい、それ以上のコトバを必要としない。フリーだとか、インプロだとか、そんな矮小化されたものじゃない、と思う。

THE FLOW OF SPIRIT

THE FLOW OF SPIRIT

 

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Evan Parker, William Parker, 土取 利行: The flow of spirit - Live concert Tokyo (2015, 立光学舎)
1. Improvisation 1
2. Improvisation 2
3. Improvisation 3
4. Improvisation 4
Evan Parker(ts, ss), William Parker (b, guembri), 土取 利行 Toshi Tsuchitori (ds, perc)
2015年7月22日東京草月会館でのライヴ録音