K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Antonio Loureiro: Livre

Release Information
Antonio Loureiro: Livre (2018, NRT)
1. MEU FILHO NASCEU!
2. JEQUITIBÁ
3. RESISTÊNCIA feat. Frederico Heliodoro
4. ALGUM LUGAR
5. CAIPIRA feat. Kurt Rosenwinkel
6. ORIENTE
7. AGORA PRA SEMPRE feat. André Mehmari
8. MAD MEN feat. Genevieve Artadi (KNOWER)
9. LIVRE feat. Pedro Martins
Antonio Loureiro (voice, p, synth, ds, perc, electric bass & electronics), Frederico Heliodoro(b), Pedro Martins(g, chorus), Kurt Rosenwinkel(g), Genevieve Artadi (KNOWER) (voice), André Mehmari(synth), Ricardo Herz(vln), Pedro Martins, Tó Brandileone, Rafael Altério & Pedro
Altério(chorus)
Produce: Antonio Loureiro & Tó Brandileone
Recorded at Yb Music by Cacá Lima & Tó Brandileone
Mixed & Mastered at Yb Music by Cacá Lima

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本当に久々にレコードを聴いている。届いたばかりのロウレイロのアルバム。

レコードで聴き直しただけなのだけど、印象が随分と変わった。針を下ろした瞬間、音に力が籠もっている、ように感じたのだ。それに音響的な特性の違いで、奏者と聴き手の距離がグッと近づいたからかもしれない。近年の録音で「レコードには魔物が潜む」のを感じたのははじめてじゃないかな。

演奏や曲作りの巧さ、だけではない。音に潜む毒のようなもの、を随所に感じることが出来て、とても美味しい内容だった。

 

[2018-11-27] それは次作以降に

はじめてロウレイロを聴いて、その「良さ」に小躍りしたのは、いつ頃だったのだろうか。NRTの宣伝をみて、だったと思うが東京のライヴが最初。丁度、4年前だ。

ちょっとメーマリの甘さ、に飽きてきた頃だったので、稠密な音の組み立てや、もう少しジャズ的とも云えるビートの強さ、が好みにピッタリだった。そしてミナスの音らしい風、のようなもの。

 もうそれから4年ということに驚きながら聴いている。あのときのような驚きはないが、甘さが控えめなブラジルの音は心地よい。同時に、カート・ローゼンウィンケルとのトラックを含むから、ということだけではなく、聴いているとジャズ・アルバムとしての認知が意識のなかに広がっていく、それも現代の切っ先、のような。

 ただ気になるのは、音空間のマンネリ、のような影がある。ティグラン・ハマシアンに強く感じてしまっている(だから手が出なくなった)影だ。曲が放つ匂いが停滞しているように感じる部分がある。緻密なだけに陥る罠ではないか。

ナナ・ヴァスコンセロス、エグベルト・ジスモンチ、エルメート・パスコアールらがもつ音の形自体を無力化するような魔力的(麻薬的?)魅力、あるいはジョアン・ジルベルト のような声自体が孕む魅力、そのような高みを期待しているのだが、それは次作以降に持ち越された、と感じた。


Antonio Loureiro - Livre (feat. Pedro Martins)

Livre リーヴリ

Livre リーヴリ

 

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