その昔、ほぼ同じ時期にICPオーケストラとグローブユニティ・オーケストラを聴いた。大阪とか京都で、1980年頃だと思う。ICPオーケストラは後から出たライヴ・レコードで復習、グローブユニティ・オーケストラは、このレコードで予習。そのときは圧倒的にICPオーケストラの諧謔的な味が面白くて、記憶にしっかり残っている。復習のレコードで、ベニンクの植木鋏でのリズムも記録されていて、ベニンク、ミシャはしっかり脳裏に刻みつけられた。ドルフィーのアルバムでの味、の延長線上にあるのだ。だから、その後も時々アルバムを聴いていた。
しかしグローブユニティは予習もうまくいかず、当日も驚く程、記憶に残っていない。だからFMP系の奏者は、その後、藤沢で聴いたブレッツマンを除き、あまりフォローしなかった。
つい先日のシュリッペンバッハ・トリオが存外に良かったこと、また1965年のハンペルのアルバムでのシュリッペンバッハが良かった。ジャズへの熱さ、それを体現するピアノの音響の素晴らしさ、そこに惹かれたのだと思う。
改めてこの「復習用レコード」を聴いてみた。聴いて面白いのは、モンク・オーケストラの延長のような音。確かに意識して作曲しているのではないか、という曲が半分。そのなかでのシュリッペンバッハは実に面白い。彼のピアノは決してモンク的な打鍵ではないが、欧州的な豊かな音響で、モンク的な「奇妙な味」を出しているし、管のアレンジもそう。楽しい。
何となく集団即興的なものは楽しめていないような気がする。アルバムタイトル通り「Compositions」がよく利いた曲は面白いし、そうでない部分はどうかな、ということか。あと2枚くらいあるので、もう少し聴こう。
あとさすがにECM系のJapo。録音はECM同様とてもよい。多くの楽器が「佃煮」にならず、解像度を保って鳴動する様は素晴らしい。
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Globe Unity: Compositions (1979, Japo Records)
A1. Nodagoo (Kenny Wheeler) 6:59
A2. Boa (Alexander von Schlippenbach) 5:43
A3. Trom-bone-it (Günther Christmann) 5:03
A4. Flat Fleet(Enrico Rava) 7:48
B1. Reflections (Manfred Schoof) 8:46
B2. Worms (Dedicated To Ezra Pound) (Steve Lacy) 10:25
B3. The Forge (Alexander von Schlippenbach) 5:22
Alexander von Schlippenbach(p), Enrico Rava(tp), Kenny Wheeler, Manfred Schoof(tp,flh), Evan Parker(ts,ss), Steve Lacy(ss), Gerd Dudek(ts,ss,fl), Michel Pilz(b-cl), Paul Rutherford(tb,Euphonium), Bob Stewart(tuba), Buschi Niebergall(b), Paul Lovens(ds, perc)
Design: Peter Brötzmann
Engineer: Martin Wieland
Photograph: Signe Mähler
Recorded January 1979 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg
Produced in cooperation with the WDR, Cologne