今朝、クルマのなかで突然イレブン、好きな曲なんだギル・エヴァンスのが、が流れ出した。ピアノの打撃音の感覚がとてつも長い。音源のiPODがランダム再生になっていたようだ。菊地雅章のトリオ。その沈黙、沈黙の後の再度の打音に痺れてしまった。
ピアノの打音と打音の間隔、打音の余韻、そのようなものを全て支配しようとする呻吟が声になって漏れる。一音一音の照り、のような音響が微妙に操作される。その繊細さ、と打音の大胆さの対比に呆れる。その繰り返しだ、菊地雅章のピアノ。
その菊地の音と音の間で、ドラムもベースもやはり呻吟している。一つ一つの音を絞り出す。そんな緊張感に聴き手であるボクも疲れるのだけど、点描のような音をなぞる快感に浸ったりするのだ。
それにしてもドヴォルザークの曲のような旋律かと思いきや、超低速のゴーストには驚いた。ピアノが何者かに憑かれたように、聴こえない音を追いかけていく。
ECMでの残響付加は、やっぱり許せないなあ、と思えるような、全てを制御しようとして苦闘するピアノ、なのだ。
- アーティスト: 菊地雅章,杉本智和,本田珠也
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/07/25
- メディア: CD
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菊地雅章: On The Move (2001, Verve Records)
1. Eleven (Gil Evans, Miles Davis)
2. Shall We Dance? (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers)
3. Get Happy (Harold Arlen, Ted Koehler)
4. Nature Boy (Eden Ahbez)
5. Ghosts (Albert Ayler)
6. Closing Theme (Masabumi Kikuchi)
菊地雅章(p), 杉本智和(b),本田珠也(ds)