K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

坂田明: BONJINTAN(凡人譚)/ Dental Kafka(2018) 聴くべし

坂田明: BONJINTAN(凡人譚)/ Dental Kafka(2018, Trost recirds)
1. Ape Huci Kamuy 12:15
2. Dental Kafka 16:53
3. Koro Koro Donguri 15:58
4. Bonjin 10:45
Akira Sakata(as, cl, voice), Jim O’Rourke(b), Giovanni Di Domenico(p, hohner pianet), Tatsuhisa Yamamoto(ds)
Recorded by Jim O’Rourke
Mastering by Martin Siewert
Recorded at Hoshi to Niji studio on 30th June 2018

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坂田明のヴォーカル・語りは、宴会芸を聞かされるような感じがあって嫌なものだった。山下洋輔の冷やし中華云々も含めて。40年昔の話。まあ、シャレなんだろうが、2500円か2800円でレコード買って、田中角栄のモノマネ聞かされてもね。

そんなこともあって、山下洋輔トリオ後の坂田明は聴いていなかった。ちょっと文化人っぽくなった山下洋輔も。

ところが、2000年あたりから後、オルークとのアルバムを聴いて、その感覚は変わった。語りも、平家物語を聴いて、宴会芸を脱し、なにかを志向している、そんな芯を感じて、ヴォイスとして緊張感をもって聴くことができるようになった。

このアルバムもオルークが作り出す音空間、少し捻れたような時空、に坂田明の声が点景のように流れていく。

その後のDental Kafkaのソロの稠密度、これは凄い。ウッズのERMをフリーにしたような速度感。いやあ、何歳なんだ、この人。中盤からの坂田抜きのリズムセクションの刻みも格好良く、気持ちよく、坂田の再登場まで異常に盛り上げる。

もうここで、大満足。満点。勿論、後も聴いているのだけどね。聴くべし、なのだ。

追記:

ひょろっとしたクラリネットが漂う3曲め、管が抜けた後のトリオが実に格好良い。ゆるりと続けつつ次第にビートのテンションが上がってくる。クライマックスを前に叫ぶ坂田明。サックスと同じなんだな。

4曲目も同じだな。やはりテンションを上げていくパターンなんだけど、鍵盤の電子音遣いが実にいい。軽い浮遊感を伴いながらビートをのせていく。ドラムもいいなあ。

クレジットでオルークはベースなんだけど、全編で後方支援。いや、全てがオルークのハカリゴトなんだろうなあ。素晴らしい。

(前の凡人譚も聴かなきゃ!)