K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Miles Davis: The complete Plugged Nickel sessions (1965)ようやく最近になって

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手持ちで4バージョンのプラッグド・ニッケルのライヴがある。1980年頃の廉価盤で買った2枚の日本盤レコード、亡父の遺品の米盤、1992年に買ったCD7枚組のコンプリートセッション(日本盤)、そして最近入手したモザイク盤の10枚組レコード。

実はこの時期、ショーター期のマイルスは聴かない。評判ほど面白いとも思えなかった。そもそも、入手までの経緯に誤解があるのだ。

1979年にジャズを聴きはじめたときに、早いうちにハービー・ハンコックのニューポートでのライヴ2枚組を入手。マイルス隠遁後1年の1976年のライヴで、1枚めの所謂VSOPバンドに痺れたのだ。これがマイルス・バンドの回想ということで、この時期のマイルスを聴こうと思ったのだ。しかし、ソーサラー、ESP、マイルス・スマイルズと入手てもまったく違う。熱狂的な要素はない。最後に、当時、日本でのみ発売されていたプラッグド・ニッケルのライヴを入手したが、これまた違う。そんな失望感がトラウマ的にあったのだ。VSOPがマイルスバンドのコピーではないと、知った訳だ。

それでも、コールマン期のバンドは好みだったので、要はショーター期のコンセプトが好みじゃないことを知った、ということ。

当時入手したプラッグド・ニッケルはVSOPと同年、1976年に日本でのみ発売されたもの。米盤のレコードが出たのは随分後で、1980年代に入ってからのようだ。亡父が持っていたのはソレ。

その後、1992年に7枚組の完全盤CDが出て、衝かれたように入手。でも聴かなかったなあ。その後、米盤で8枚組のCDが出て、これが本物の完全盤のようだ。1995年の発売。Amazon HDで聴くことができる。

さて最近になって入手したのはマイケル・カスクーナのモザイクからの10枚組レコード。さすがに、これは聴かなきゃ、ということで、トロトロ聴いている。

発売を見送られた未発表ライヴではあるが、音質はコロンビア盤の標準。とても良い。日本盤がオリジナル?の本演奏であるが、十分な音質。1970年代の日本盤はバラツキもあるが、CBSソニー盤は米盤と大きな違いはない。

モザイク盤は重量盤だけあって、音の輪郭がクッキリしていて、ライヴの臨場感もしっかり。実に楽しい。耳が行くのは、ショーターの硬質なソロ。格好いいなあ。ピアノとドラムがオフ気味だけど、まあ許容範囲。

驚いたのは、7枚組CD。ピアノとドラムが少し前に出て明瞭。ドラムのシンバルが明瞭になって嬉しい。クラブ内のノイズも少しレベルが上がっている。トランペットに残響が付加され、これはやりすぎ。不自然だ。

ついでにAmazon HDで8枚組の米音源を聴いてみると、これがモザイク盤と同じ印象。残響付加が消え、ピアノとドラムがやや引っ込んでいる。でもシンバル音はいいなあ。リマスタリング技術者のcreditがモザイク盤と同じ。そういうことなのだ。

聴き比べると、モザイク盤・8枚組音源(Amazon HD)が過剰な加飾がなくて、音が自然でいいなあ、と思った。

そんな訳で、40年振りにトラウマ的な呪縛から離れて、楽しんでいる。