K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

沖至: 殺人教室 (1970) 米国にも欧州でもない何か

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沖至: 殺人教室 (1970, Jazz Creaters)
A1. 水との会話 "Aporia" 12:30
A2. 図形的発展 "Spectral" 7:00
B1. 空間の飛翔 "Papilio" 11:15
B2. 永遠の詩 5:20
沖至(tp, flh, perc), 翠川敬基(b, p, perc), 田中穂積(ds, perc)
Engineer [Recording Engineer] – Kinji Hayashi
Producer: 副島輝人
Recorded in Tokyo, February 1970.

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沖至は1980年頃、ピルツとの来日公演時のFMライヴを聴いて、柔らかで鋭い、透明感のある金管の音が好きになった。その後のキングレコードからの「スタンダード集」はケレン味が一切無くただ美しい。愛聴盤だ。

その沖至の殺人教室をようやく入手した。タイトルから、攻撃的な音が詰まったアルバムかと思っていたが、そうではない。かなり音数が少ないインタープレイが続く。3者の音は想像通りで美しいのだ。沖至もその音響を断続的に流し、他の2人はそれに反応し内在的な摂動を出していく。驚くほど淡々と3者の音空間を広げている。決して日本的なものを追っているのではないが、米国にも欧州でもない何か、を感じて面白い。当時の菊地雅章とピーコックの録音にも通底する、何か、である。

田中穂積のパルス状の打音が好きなのだが、このアルバムでは、それをたっぷり楽しめる。同時期に活躍された豊住さん、山崎さんは健在なのだけど、この方はどうされているのだろうか。1970年代までの録音しか知らない。ネットにも消息は出てこない(病没されたジョー水木さんは出てくるが)。翠川敬基のベースが録音上、若干オフ気味なのが残念。

殺人教室[BRIDGE061]

殺人教室[BRIDGE061]

  • アーティスト:沖至トリオ
  • 発売日: 2006/06/06
  • メディア: CD
 

 

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