Anatoly Vedernikov: Prokofiev/ Thoughts, Sonata No. 5, Divertissement(1973, Melodia- 33D 033635—36)
Mono
Thoughts Three Pieces for Piano, Op. 62
A1. Adagio Penseroso. Moderato
A2. Lento
A3. Andante
Sonata No. 5 For Piano, Op. 38.135 (Second Edition)
A4. Allegro Tranquillo
B1. Andantino
B2. Un Poco Allegretto
Divertissement For Piano, Op. 43-bis
B3 Moderato, Molto Ritmato
B4 Nocturne
B5 Dance
B6 Epilogue
Anatoly Vedernikov(p)
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旧ソ連メロディアのレコード。モノラル盤。好みのピアノ奏者アナトリー・ヴェデルニコフのプロコフィエフ集。
メロディア盤の音の魔力、のようなものに魅入られている。ピアノの音響が高い純度で閉じ込められている。弱音の儚い美しさ、暴力的な打鍵の迫力、そんなものを呆然と愉しむ。モノラル盤を高針圧のカートリッジでトレースすると、その美質は更に強まる。
ことにヴェデルニコフの陰翳が強く、感情の奥の闇に差し込むような暗い美音。明け方から聴いていると、梅雨末期の陰鬱な気分と見事な同期。窓を打つ強い雨、煙る山並みを眺めながら、時間が流れていくままにしている。
やはりロシアの作曲家との相性は格別で、深淵を覗き込むような時間を過ごしている。いや、ドビュッシーだって仏的典雅な印象は影を潜め露的陰鬱の世界となる、そんなピアノだけど、好みなんだな。