K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Miles Davis: The First Night At Fillmore East (1970) 翌日の公式盤を持っていることを失念して購入

Miles Davis: The First Night At Fillmore East (1970, Hannibal)
CD1: First Concert
1. Directions
2. Miles Runs The Voodoo Down
3. I Fall In Love Too Easily
4. Sanctuary
5. It's About That Time / The Theme
CD2: Second Concert
1. Directions
2. Miles Runs The Voodoo Down
3. It's About That Time / The Theme
(Bonus Tracks)
4. "Friday Miles" Promo (7 Inch Analog)
5. "Saturday Miles" Promo (7 Inch Analog)
Miles Davis(to), Wayne Shorter(ss, ts), Chick Corea(el-p), Dave Holland(b), Jack DeJohnett(ds), Airto Moreira(perc)
Fillmore East Auditorium, New York 6th March 1970
Stereo Soundboard Recording
24bit Digitally Remastered

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ついBootに手を出した。マイルスのBootは何年ぶりだろう。山のようにCompleteのCDセットがあって、テオ・マセロの編集が入らない混沌とした音世界に疲れた、というか。1970年代マイルスのアルバムが、テオ・マセロとの関係性のなかで成立していることが思い知らされた。

しかも、この1970年3月のフィルモア・イーストについては、既に公式盤が出ていることを失念しての購入だからいやになる。

そんな前置きはともかく、本題へ。

マイルスのアルバムで「特に」いいな、と思うのは1970年代マイルスのはじまり、と終わり。1969年に欧州ツアーの録音と1975年の日本公演だ。

1969 Milesをはじめて聴いたときには、コリア、ホランド、デジョネットが叩き出す強いビートと、歪んだフェンダー・ローズの音の洪水、しかも十分アヴァンな破壊力に満ちた、に圧倒された。1969年は、1950/60年代の曲目とビッチェス・ブリューの曲目の混合で、実に面白かった。そのバンドにアイアートを追加したバンドだから悪かろう訳がない。

ということで聴いてみると、やはりコリア、ホランド、デジョネットがパワーアップ。弾け飛びそうなフェンダー・ローズに昂奮。もうこれで十分。コリアの電化フリージャズであり、堪らない内容。そのうえで縦横無尽のトランペットが吹き抜けるのだから、凄まじい。

気がつくことは、1969年には重要なピースであったショーターの音の存在感が脱落。コリアの過激化で弾かれている、のだ。それにアイアートの味、がアヴァンな味付けの強化になっていて、1969年の欧州ツアーと比べ魔術的な印象が強まっている、いや違う音空間に飛翔(いや沈殿)している。ショーターとアイアートがWRで作った音は宇宙空間に飛翔しているし、コリアとアイアートがRTFで作った音は風のように吹き抜ける。面白いものだ。