レコードの場合はジャケット買いだけど、これは表紙買い。昔の2色刷漫画本をデフォルメしたような赤一色。「紅い花」の少女、完璧じゃないか。
正津勉とつげ義春は詩誌(すばる、だったか)の連載で旅をしていて、そのことが近年再刊された「旅日記」に書いてあった記憶もあるし、確か旺文社文庫にもそのときの画があったような、記憶があやふや。
でもその正津勉の本だから予約注文したということだけど、内容は意外。当時の旅の話でなく、教科書的なガロ時代の名作の解説のような本。面白い、と云えなくはないが、手放しに面白い、ということもない。ただ「COMICばく」の休刊とともに、もう漫画は書いていないので、かれこれ30年は新作は出ていない。また寡作で作品数は少ない。だから、このような本を読むと、何回目のするめ、のような噛み味がまだ残っているので、それも悪くない。
また教科書的であるが故に、cross reference的な機能があって、読書の穴埋め的な機能がある。そんな訳で権藤晋「つげ義春漫画術」を知り(知ってしまって)、上下2巻を揃えてしまった。とほほ。
つげ義春との距離感もほどよく、読者目線での語りなので、一読をお勧めする。まずまず美味しいスルメなのだ。