K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

小曽根真/オーケストラ・アンサンブル金沢(10月5日) マンボウ明けでコンサート

Mちゃんからタダ券を頂く。4枚もあって、Y他ご相伴にあずかる。

Mちゃんはクラシック音楽の熱心なファンで、ピアノ音楽にすこぶる厳しい見識を持つ。ジャズピアノ奏者には概ね厳しいのだけど、なぜか(?)小曽根真はOKで、以前も小曽根真のショパンコンサートにも行っている。このときはショパンの曲からブラジル音楽への流れ、のようなものも相まって、存外に楽しめた。その後、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)と小曽根のショスタコーヴィチの協奏曲(早くて、ピアノでオケを引っ張り倒すやつ)を聴いた。そのときは、ピアノの速度が不十分で、原曲にない「遊び場」をつくってソロ披露という、哀しい編曲でがっかりしたのだけど。

さて今回は、小曽根抜きでOEKのモーツァルト曲から。予想通り、あまり気を惹かない。やはり現代曲に近いほうが楽しめる。

2曲めは小曽根曲。ピアノと弦楽。これは面白かった。スタートはガーシュインとショスタコーヴィッチの曲を重ねたような現代曲の雰囲気、活力を描くような佳曲。その後も、そのような枠組みの中で時折、ジャズ的であり現代音楽的である音を交えながら演奏が進む。ガンサー・シュラーの曲のような滑った野心はなく、バランスの良さが目立ったように思う。だから逆に「20世紀の音楽」という枠がはっきり聴こえていて、物足りなさは、その回顧的な曲の空気。しかし同年代であるボクにとっては心地よいものだったのだけど。

3曲めは小曽根真(p)、中村健吾(b)、高橋新之介(ds)のトリオとOEK。編曲は小曽根。これはジャズとクラシックを継いだような編曲で、その目まぐるしさに飽きると、ちょっと退屈だったなあ。ビートを抑え気味でのピアノに、OEKがバックについたとき、なかなか聴かせるアンサンブルが多々あったので、楽章ごとに曲調を整理したほうが良かったように感じた。両方立てるような感じが気持ちよくなかったな。クラシックのホールで聴く高橋信之助のジャズドラムが新鮮。打楽器がはいった現代曲(ライヒとかね)的なジャズ、ってイケそうだなあ、なんて思いながら聴いていた。

音響的にはやはりドラムはOEKの背後じゃないのかなあ、と思った。音量は細心の注意でコントロールしていた、と思うが、それでもOEKの音が聴こえないと感じる瞬間が多々あった。

全体としては、面白く、また(多分今だけだけど)平常の生活が戻った感じが嬉しかったな。

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