K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Zoh Amba:  O, Sun(2022) 話題だから聴いてみたが

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Zoh Amba:  O, Sun(2022, Tzadik)
1. Hymn to the Divine Mother
2. O, Sun
3. Northern Path
4. Gardener
5. Holy Din
6. Crossing
7. Satya
Zoh Amba(ts), Micah Thomas (p), Thomas Morgan(b), Joey Baron(ds)
John Zorn(as on 5)

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最近、なんだか話題になっているゾウ・アンバ初リーダー作。Tzadikの新譜は以下のサイトでDL販売。嬉しい:

DUの惹句は以下のとおり:

規格外のサウンドを聴かせる若手フリー系サックス奏者の最重要人物!?
アルバート・アイラーを彷彿とさせるド迫力のサックスを披露するゾウ・アンバの初リーダー作がTZADIKよりリリース!

テネシー州出身で現在NY在住の若手サックス奏者ゾウ・アンバの初リーダー作が名門TZADIKからリリース!
現在21歳と若手ながらアルバート・アイラーを彷彿とさせるド迫力のサックスを披露し、初めて聴いてときは「このサックス奏者誰!?リーダー作も出てないの!?」とその音の強度は既に多くの作品を出しているジャズメンと聴き間違えるほど。

幼少は山で育ったらしく、山と森の中で練習と演奏を繰り返していたという経験を持つ彼女。激しさがありながら同時に繊細でもあるような、不思議とずっと聴いていたくなる彼女のサウンドはこの自然の中での経験からきているのかも・・・と想像させてくれます。

話題だから聴いてみたが、アイラーも彷彿としないし、激しいとも思わなかった。テナー・サックスから絞り出すような音が、たしかにアイラーに似た響きであるのだけど、アイラーの音に纏わりついた身体と情念のようなもの、それが全くない。とても軽く、天蓋へ飛翔するような音で、身体とともに地に帰っていくようなアイラーとは違う。

サックスを支えるミカ・トーマス、トーマス・モーガン、ジョーイ・バロンの音がECM的な美音。いやECMのような過剰残響はないのでクリアな美音。フリー的な曲であっても、それは変わらない。

だから全体としては、美しく広がったサックスの音響を楽しむアルバム。ただし、ゾーンが加わった5曲目は、ゾーンと吹き倒すような塩梅ではあるが、アルバムの基調は案外維持していて、不連続的に音が過剰になる、という印象はない。それでもゾーンと丁々発止に吹いているのは素晴らしい。

久しぶりに何回も聴き直したアルバム。Tzadikをもう少し聴かなきゃね。