K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

村岡健: Takeru (1970) 1960年代の日本で演奏されたジャズの到達点

TAKERU MURAOKA / 村岡建 / タケル(SHM-CD)

村岡健: Takeru(1970, Philips=> Superfly Records)
A1. Snoopy
A2. Easy Ridin'
A3. Fish
B1. Electric Zoo
B2. Desperation
村岡建(ts), 菊地雅章(el-p), 池田芳夫(b), ジョージ大塚(ds)
1970年8月22日,9月7日,9日 東京、ビクター・スタジオにて録音
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「和ジャズ」ブームというのも気持ち悪いが、でも、このようなアルバムが再プレスされるのなら、悪いものでもない。菊地雅章のアルバム蒐集のつもりで遅れて入手。

村岡健というと、日野皓正のTact時代の共演者。1960年代末から1970年あたりまで。もう半世紀以上昔のことだ。その後の活動が見えていなかったのだけど、近年、webメディアで小川隆夫のインタビューに応じていて驚いた:

日野グループでの演奏の後は、スタジオの仕事が中心だったようだ。

1968年と1969年の間に大きな不連続がある。日野皓正のグループも、外見の変化(スーツから長髪・サングラス)以上に音が変わっている。村岡健は、日本のジャズがIdentifyされる前の奏者、という印象なのだけど、どうだろうか。

このアルバムを聴くと、とにかく村岡健の管の音の良さ、に惚れ惚れする。入手して良かった、と思う。何回も聴きたい、とも思う。菊地の電気ピアノも良く、1970年代の入口の音そのもの。ただ、1960年代末の日野・菊地グループの匂い、つまり「本場のジャズを上手く演奏する」ような感じが淡く残っている。1960年代末のマイルス・グループと通底するものを感じてしまうのだ。その意味で、日本のジャズの揺籃期末期までの奏者であるという、記録・記憶通りの内容なのではないかと思う。言い換えると、1960年代の日本で演奏されたジャズの到達点ではなかろうか。

素晴らしい演奏と裏腹に感じたのは、そんなもやっとした印象だった。

タケル (SHM-CD)

タケル (SHM-CD)

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