K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Art Farmer: The Time And The Place - The Lost Concert (1966) 演奏、録音ともに70年代ジャズを思わせる素晴らしい発掘盤

Primary

ともに, Mosaic Records)
1. On The Trail (Ferde Grofe)10:00
2. Band Announcement    0:46
3. Far Away Lands (Jimmy Heath) 6:36
4. The Shadow Of Your Smile (J. Mandel, P.F. Webster) 14:15
5. Dailey Bread (Albert Dailey) 11:41
6. Blue Bossa (Kenny Dorham) 7:40
7. Is That So? (Duke Pearson) 8:40
8. The Time And The Place (Jimmy Heath) 10:24
Art Farmer(flh), Jimmy Heath(ts), Albert Dailey(p), Walter Booker(b), Mickey Roker(ds)
Recording engineer: Tony Janek
Sound engineer: Buddy Graham
Re-mixing/mastering engineer: Mark Wilder
Producer:Teo Macero
Reissue Producer: Michael Cuscuna
Recorded live at The Museum Of Modern Art, New York City on August 18, 1966.
Released: 2007
Remixed in 24 bit from the original three-track tapes and mastered at Sony Studios .

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アート・ファーマーのラッパの響きが美しく、その哀感をもって日陰でひっそりと咲く花のような印象がある。故に日本でも愛され、1970年代にEast windなどで多くのアルバムが制作されている。そんな時代があったことも既に忘却の彼方にあるのではなかろうか。

ボク自身は、やはりキューン、スワロー、ラ・ロッカとの1ホーン・アルバムの美しさ、に心奪われるも、その印象の中に留まっている。

ウッディ・ショウとの共演者である早逝したカーター・ジェファーソンの共演アルバムを調べる中で、やはり早逝したアルバート・デイリーを知り、そのなかで、このモザイク盤を知った。ニューヨークの現代美術館でのライヴ。1966年8月。

これが蔵出し盤とは思えないほど素晴らしい。1966年の録音なのだけど、後年のEast Wind盤と同じ録音の質と、1970年代のジャズ(ポスト新主流派)を先取りしたような、粘度が低いドライブするジャズ。ヒース・ブラザーズの雰囲気にアート・ファーマーが乗っかった感じ。実に美味しい。ファーマーの活性度も高い。明らかにジミー・ヒースに煽られているようだ。デイリーのピアノも粘着しないタイナーの趣で、軽快にドライヴしていて、気持ち良い。

このアルバムが裏、なんだけど表盤もある。The Time And The Placeという同じタイトルで、ピアノが何故かシダー・ウォルトン。ライヴの体裁をとって拍手も入っているが、スタジオ録音に拍手を重ねたようだ。このあたりの経緯はよくわからないが、こちらも決して悪くない。

まさかファーマーのアルバムを1日中聴いているとは思わなかった。

Time & The Place / Lost Concert

Time & The Place / Lost Concert

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