Miles Davis: Turnaround (Rare Miles From The Complete On The Corner Sessions) (1972,73, Columbia)
A1. Jabali 11:06
A2. U-Turnaround 8:27
B1. The Hen 12:36
B2. Big Fun/Holly-wuud 7:07
Miles Davis(tp, org, el-p), Bennie Maupin(fl, b-cl), David Liebman(ss, fl), Carlos Garnett (ss on A1, A2), Lonnie Liston Smith(org), Herbie Hancock(org, el-p, synth), Reggie Lucas(g), Pete Cosey (g on B2), Collin Walcott, Khalil Balakrishna(electric sitar ), Michael Henderson(b), Al Foster(ds), Billy Hart (ds on A1), Badal Roy(tabla), Don Alias, Mtume(perc)
Recording Engineer: Doug Pomeroy (tracks: B2), Russ Payne (tracks: B1), Stan Tonkel (tracks: A1, A2)
Mixed In 24-Bit by Bob Belden, Richard King
Mastered by Mark Wilder
Original Sessions Producer: Teo Macero
Executive-Produce: Cheryl Davis, Darryl Porter, Erin Davis, Vince Wilburn, Jr.
Producer for release: Steve Berkowitz, Michael Cuscuna
A1 recorded June 12, 1972 at Columbia Studio B, New York City.
A2 recorded November 1972 at Columbia Studio B, New York City.
B1 recorded January 4-5, 1973 at Columbia Studio B, New York City.
B2 recorded July 26, 1973 at Columbia Studio B, New York City.
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ファンク時代のマイルス・デイヴィスをもっと聴きたい、浴びるほど聴きたい、という飢餓感、のようなものがある。という感覚は、この時代のマイルス・デイヴィスの音が好きな面々には共通ではないだろうか。だから1990年代後半から、沢山のboot音源も出たし、何よりテオ・マセロの編集が入らないスタジオ音源が山のように出された。
全ては追えないが、それなりに手にしてみたが、満足感・満腹感には遠い。何故だろう。
既存の正式音源についても、アルバムの完成度、という観点ではバラツキがあって、スタジオのビッチェス・ブリューやオン・ザ・コーナー、ライヴでのアガルタ・パンゲアのような「アルバム」としてのまとまりがあるもの、は少ない。ライヴやスタジオでの音の奔流がある、だけだ。
だから、ビル・ラズウェルのremix盤はマイルス・デイヴィスの作品と言い難い側面はあったが、アルバムとしての完成度が高く、聴き入らせる何か、を強く感じさせた。
実はRSDでの、このような単発企画は嫌いなのだけど、このアルバムも誰がremixの指揮をとったか分からないが、実に良く「アルバム」としてまとまっている。ここに、マイルス+マセロの編集意思はないのだけど、彼らをrespectする編集意思はある。それを小気味良いパッケージにしており、聴いていて実に楽しい。
(追記:creditをよく読むと、Bob BeldenとRichard King。彼らがテープからの編集を行ったようだ。ベルデンが入っているなら、確かにアルバムとしての編集は上手いだろう、と思う。)
このようなスタジオ・コンプリート盤からの「編集盤」は3枚め?(以前はサイレント・ウェイとジャック・ジョンソン)なのだけど、RSDという形ではなく、新たなアルバムとして編集されたものを出して欲しいなあ、と思った。
演奏は、オン・ザ・コーナーの混沌を感じさせ周縁への強い運動性(何処へ行くのか分からない)を感じさせる、から、むしろジャズ・アルバムとして求心性を感じさせるものになっている。オン・ザ・コーナーから、1975年のライヴ・アルバムにつながるような音が選抜された印象。