ボクがジャズを聴きはじめた1979年,ジャズ界の3大ピアニストは,キース,チック,ハービーだった.皆40代手前,若かったなあ.その彼らはすべて電化楽器を触っていて,キース・ジャレットもマイルス時代はマイケル・ヘンダーソンとファンクまでやっている.
今ボクの中での(ある種の)3大ピアニストは,ポール・ブレイ,ラン・ブレイク,デニー・ザイトリン.キース,チック,ハービーが陽樹の伸びやかさを楽しむのであれば,彼らは陰樹に纏わりつく匂い,のようなものを愉しむ聴き方.それがいい.
彼らのうち,まったく揺るぎないスタイルで一貫しているのはラン・ブレイク.孤高のイメージそのまま.ポール・ブレイはバッパーからはじめインプロヴァイズド・ミュージックまで,その後の変遷の振幅は案外大きい.ザイトリンは「ほぼ」スタート時点のBeyond Evans的なスタイルは一貫しているが,実は1970年代にブレイ同様の「電化サウンド」へのゆらぎがある.ブレイから遅れること数年,電化マイルスの影響もろの,電化サイケデリックジャズと云うか...お薦めはできないが,案外良くて,聴かせるものがある.あ,ピアニズムは皆無なので,念の為.
当時(1980年頃だけど),電化サウンドについては.とかく「商業主義」で括られて語られた音楽ジャーナリズムであったが,今聴くと,彼らの創造力拡大のツールとしての挑戦であったことがわかる.聴き手がついて行けなかった,だけなのである.

