Bill Evans: From Left To Right (1970, MGM Records)
A1. What Are You Doing The Rest Of Your Life? (A. Bergman, M. Bergman, M. Legrand ) 4:04
A2. I'm All Smiles (H. Martin, M. Leonard ) 5:20
A3. Why Did I Choose You? (H. Martin, M. Leonard ) 5:03
A4. Soirée (Earl Zindars ) 3:25
B1. The Dolphin - Before (Luis Eca ) 3:05
B2. The Dolphin - After (Luis Eca ) 3:06
B3. Lullaby For Helene (Earl Zindars ) 2:50
B4. Like Someone In Love (J. Burke-J. Van Heusen ) 5:35
B5. Children's Play Song (Bill Evans ) 5:35
Bill Evans(p, el-p), Sam Brown(g), Eddie Gomez, John Beal (b), Marty Morell(ds)
Conductor, Arranger: Michael Leonard
Producer: Helen Keane
All tracks recorded between October 1969 and May 1970
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ボク以上の年代だと、リアルに記憶のある時代。元祖・大阪万博の年。
昭和一桁生れの亡父がようやくステレオセットを購入した頃。巷では、ムード音楽が流行。ムード歌謡、なんてあった時代。戦後25年、従軍経験がある方々が社会の指導層で、「多分」今からすると想像を絶する厳しい時代ゆえのムード音楽だった、のではないか。亡父が疲れて帰宅し、ぼうっとポール・モーリアのレコードを聴いていた記憶がある(真珠の首飾り、とか)。バート・バカラックの曲なんかも、そのような時代の点景。だから後年ジャズを聴きはじめたのは、このような緩い音楽ではなく、の気持ちであったと思う。
さて、このエヴァンスのアルバムは、そんな時代に「迎合した」であろう盤で、録音期間も長く、スタッフも多いので、より広範なマーケットを狙ったのであろう。しかし、ジャズファンの覚えは極めて悪かった、と想像でき、Discogsをみると再発も極めて少なく、期待ほどは売れなかったのだろう。中山本でも酷評。ジャズと対極、の位置づけだからね。
しかし、聴いてみると決して悪くない。大甘のエヴァンスのピアノが嬉しい。それは、ピアノでも電気ピアノでも同じ。だから甘いエヴァンスを存分に愉しめるアルバム。
Complete集で聴くと様々なフォーマットで作り込まれており、聴いていると実に面白い:
このような「ムード音楽」が麗しく聴こえるのはなぜだろう。オルークのバカラック・カヴァー集を聴いても、そう思った。細野晴臣の甘い唄い方に惹かれたんだよね。
それと同じ気分で、このエヴァンスも捉えているんだよね。