K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Bill Evans: At the Montreux Jazz Festival (1968) Analogue Productions盤(45回転2枚組)で聴く

Bill Evans: At the Montreux Jazz Festival(1968, Verve)
V6-8762

A1. "One for Helen" (Bill Evans) – 5:22
A2. "A Sleepin' Bee" (Harold Arlen, Truman Capote) – 6:05
A3. "Mother of Earl" (Earl Zindars) – 5:14
A4. "Nardis" (Miles Davis) – 8:23
B1. "I Loves You, Porgy" (George GershwinIra Gershwin, DuBose Heyward) – 6:00
B2. "The Touch of Your Lips" (Ray Noble) – 4:45
B3. "Embraceable You" (G. Gershwin, I. Gershwin) – 6:45
B4. "Some Day My Prince Will Come" (Frank Churchill, Larry Morey) – 6:08
B5. "Walkin' Up" (Evans) – 3:45
Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Jack DeJohnette(ds)
Edited By, Remix : Bob Schwarz
Engineer: Jean-Claude Martin, Pierre Grandjean
Engineering Director: Val Valentin
Producer: Helen Keane
Recorded June 15, 1968 at the Casino de Montreux, Switzerland by the technical department of Radio Suisse Romande.
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Analogue Productions:
APJ8762-45
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左はオリジナル盤(黒T)、右はAnalogue Productions盤

 

大分と前に嶋護氏(ジャズの秘境著者)のtweetを見て購入。珍しく、CDでなくアナログ盤のつぶやきだったので。

購入後、オリジナル盤と比較して、よく分からなかったので、少しがっかり。難聴だし、耳鳴りも酷いし、聴き取れないのだな、と。

今朝、ふっと聴いてみると、これが実に良い。音の粒立ちがすごい。また強い音の響きも弱い音の残響も。奥行きも深く、とにかく情報量が多い。改めてオリジナル盤を聴くと「普通に良い音」。そう33回転から45回転に増やしたことによる媒体による「増感」が直球で脳幹を刺激する。気持ちの良い音。

どうも半年ほど前に入れたフォノ・イコライザの効果が大きいようだ。こんなに違いが出るとは思わなかった。

元来、録音が良いアルバムで知られるが、この再発盤の生々しさは尋常じゃない。実は再発盤でこのような体験をしたのははじめて。

演奏には何も云うことがない。語れば語るほど、真実から遠ざかるような素晴らしい演奏。彼の美しい響きがライヴの熱気のなかで高速にドライヴしている。ゴメスも後年のように過剰に饒舌ではない。必要な音を繰り出しているだけだ。デジョネットの攻撃的なドラムが、エヴァンスの耽美的な印象を崩し、ゴメスとともに男性的な強いプレイを引き出している。

 

[2013-04-24]暖かい雨の朝を軽い読書で

走ろうと思って早く寝た。だけど起きたら雨。とても暖かくて気持ちが良い。こんな朝だったら雨でもいいな、って思った。

仕方がないから、薄暗い時間からレコード聴きながら読書。何ともいえない満ち足りた感覚がある。レコードは亡父の箱からみつけたビル・エヴァンスモントルー・ジャズ・フェスティバル(ロマン湖畔のお城のジャケット)。日本で直輸入盤として発売され珍しくないようだけど、Verveのオリジナル盤(黒Tというレーベル)。ちょうど1970年の万博の時分は日本が豊かになった、と実感した頃。外貨規制が外れて、輸入が容易になった。亡父が嬉しそうにポール・モーリアの仏・直輸入盤の帯をつけたレコードを嬉しそうに買ってきたのを思い出した。流行、だったのだ。

ボクが持っている日本盤と比べ、薄いヴェールが剥がされたような、すっきりとした音。ノイズはやや多いのだけど。(多分)日本盤には「細やかなイコライザ処理」のようなことが施され、繊細な感じの音になっている。これは日本盤共通の音色。米盤はもっとガツンと荒い感じだが、ボクの好みに合う。牛肉の違いと似ている。細かな食育で作られた霜降りと直球の赤身。ボクは肉本来の旨味が楽しめる米国牛のほうが好きだし、そこにピアノがあるような米盤の音が好きだ。介在する第三者が見えてこないような。

演奏はあのメンバーだからね。何も云うことがない。語れば語るほど、真実から遠ざかるような素晴らしい演奏。彼の美しい響きがライヴの熱気のなかで高速にドライヴしている。ゴメスも後年のように過剰に饒舌ではない。必要なインプロヴィゼーションを繰り出しているだけだ。デジョネットの攻撃的なドラムが、エヴァンスの耽美的な印象を崩し、まさに男性的な強いプレイを引き出している。何回も何回も回してしまった。

レコードを聴きながらの読書のことだけど。

先日は和田誠村上春樹のPortrait in Jazz第二巻のレコードを引っ張り出して聴いていた。そのときに同じように引っ張りだした「意味がなければスイングはない」を拾い読み。全てに満ち足りた筈のウィントン・マルサリスの退屈さ、には全く同意したのだけど、何か同じような感覚を最近の彼の小説に感じる。自由に飛翔できる翼が背中に生えたとき、自由に飛び回りことに自由さを感じることができるのか、のような感じ。初期と比べて圧倒的な筆力で書く世界が、それに相応しいか、といおうか。技量と世界観のバランスが崩れつつあるように思えるのだ。まさにマルサリスの問題はそこだからね。もう少しこのことを考えてみたい。云いたいこと、わからないよね?

追記:

文章中リンクを張ったサイトのオリジナル盤論議は読み物として、とても面白かった。お茶の水に宿泊中に読んで、11時のディスクユニオン開店と同時に、このレコードを探しにいたけどなくて、代わりに「直輸入盤」のWhat's new(言わずもがな、のエヴァンス名盤・録音優秀盤)を買ってきた。まさか亡父のレコード箱で眠っていたとは思わなかった。