K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1001) Mal Waldron: Free At Last (1969) 音の美しさと作り上げられた「奇妙な音世界」の微妙なアンバランスが愉しい

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[ECM1001] Mal Waldron: Free At Last (1969)
A1. Rat Now 10:15
A2. Balladina 5:01
A3. 1-3-234 4:01
B1. Rock My Soul 11:23
B2. Willow Weep For Me 7:31
B3. Boo 3:25
Mal Waldron(p), Isla Eckinger(b), Clarence Becton(ds)
Producer: Manfred Scheffner
Engineer: Kurt Rapp, [Supervision] Manfred Eicher
Recorded at Tonstudio Bauer
https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750577/free-at-last-mal-waldron-trio
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[2015-01-21] 最初に出たECMのアルバム

このレコードは随分前に買っていたのだけど、単にECMの一枚目にアルバムであること以外に理由のない買い物で、放置していた。で、まずはECM1000番台をアタマから聴こうと、ターンテーブルに乗せた。ECMは、ここからはじまった、のか?咄嗟に思った。

何か聴いたことがあるような音のイメエジ。そう、同じドイツのENJAのレコードを聴いているような気分。で、調べるとENJAも同じ録音スタジオを使っている。Tonstudio Bauer。

ボクが持っているのは、もっと後の時代の山下洋輔のENJA盤だけど。そのあたりと音世界は同じ。とても明瞭な、輪郭がはっきりした音が記録され、残響は強くなく、とても自然な音。温度はそれほど低くなく、それがまた主流派といってもよいジャズにぴったりくる。そう、まさにENJAの世界じゃないか(ホルストは元気なのかな?)。アイヒャーはプロデュースもしていない。

稲岡本をみても、音楽的なシンパシーよりも、商業的な安全パイとしてのマル、のような記載。うーん。確かにECMらしくない、ような気がする。ECMがECMたる所以は、確固たるECMの音世界で、あたりまえだと思うが、最初はそれがなかったという事実に改めて驚いたりするのだ。スタート時点でホルストのENJAと似ている、とは面白い。ECMより主流派寄りでのENJAのアルバムも素晴らしいが、ECMのような「独自の世界観」には至っていない。普通のマイナーレーベルに留まっているのだ。

 勿論、マルのアルバムとしてみたら、録音もいいし、ジャズらしいジャズとして十分楽しめるものであった。マルの演奏についての云々よりも、このようなアルバムがECMから出ていたこと、に驚いてしまう。

参考記事:
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2004/05/post.html

フリー・アット・ラスト

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