K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1004) Marion Brown: Afternoon Of A Georgia Faun (1970) 牧神の午後のけだるさだけが

[ECM1004] Marion Brown: Afternoon Of A Georgia Faun (1970, ECM
A. Afternoon Of A Georgia Faun     17:00
B. Djinji's Corner     18:04
Marion Brown (as, ss,cl, contrabass-cl, suona [Chinese musette], fl, Perc), Anthony Braxton (as, zurna, perc) , Bennie Maupin(ts, fl, b-cl,fl, perc), Chick Corea(perc, perc),  Jack Gregg(b, perc), Billy Malone, William Green, Andrew Cyrille, Larry Curtis(perc on B), Jeanne Lee(vo, perc), Gayle Palmoré(vo, perc, p)
Producer: Manfred Eicher
Cover: Dieter Henkel
Engineer: George Klabin
Recorded on August 10th, 1970
at the Sound Ideas Studio, New York City
Released     1970.
https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750582/afternoon-of-a-georgia-faun-marion-brown-anthony-braxton-chick-corea-andrew-cyrille-jeanne-lee-bennie-maupin

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[2015-01-28]牧神の午後のけだるさだけが

これはアイヒャー・プロデュースでニューヨーク録音。先に録音についての感想だけど、多楽器・多奏者の空間をうまく定位できていないような、散漫な印象がある。

1970年代の似たような録音に、富樫雅彦のSpirutual Natureがあるが、あのアルバムの魅力は音楽そのもに加え、魅力的な録音。風に吹かれ、さざ波が立っていくような音の軌跡が空間に描かれている。演奏も空間的なものだけど、空間を維持するための緊張感が張り詰めていて、あの硝子のような儚く美しい空間が、今なお魅了して止まない。

このアルバム、いや、その後のECMも含め、そのような空間を狙ったレーベルだ。だけど、残念ながら、Georgia Faunの午後からは、ドビュッシーの名曲、牧神の午後のけだるさだけが伝わってくる。ジョージアの綿畑の光景描写なんだろうが、作曲と即興のバランスが悪く、緊張感を欠いている。B面も同じ。

AEOCのような民族性への希求が芯に入っているような感じでもないし、中途半端だ。メンバーをみると、ブラックストンとコリア、サークル前夜の二人が入っていて、なんとなく合点、じゃないかなあと思うのだ。観念先行で、作曲の完成度が低いように思える。富樫さんのアルバムとのちょっとの違い、だけど大きな違いなのだと思う。

それが910さんが云われる「時代を感じる」こと、そのものなんだと思う。時代の空気の中では聴けても、時代の空気を洗練して詰め込まないと、時間の経過に耐えられないもんだ、って思う。

 910さんの記事:CDの紹介なので、ジャケットが違う。

https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/06/afternoon-of-a.html

Afternoon of a Georgia Faun

Afternoon of a Georgia Faun